クレジットカードの借金の時効は?踏み倒すことは可能?

「時効」という言葉は刑事ドラマではよく耳にしますが、借金にも時効があるってご存知でしたか?
一定の条件をクリアすることでクレジットカードの借金も時効にすることができるんです。
借金を踏み倒すと犯罪になってしまいそうな感じもありますが、時効は法律による効果なのでもちろん犯罪ではありません。
もちろん簡単なことではないのですが、どのような流れで時効を迎えることができるのでしょうか?
※このページの情報は、借金を踏み倒すことを推奨している内容ではありません。借金が返済できなくなった、返済するのが難しくなってきたという場合は弁護士や司法書士などに相談し債務整理することをおすすめします。
クレジットカードを滞納するとどうなるの?
まずは、クレジットカードの支払いを滞納した場合の流れやクレジットカード会社の一般的な対応を確認しておきましょう。
クレジットカードの支払いを1日でも延滞すると、クレジットカード会社から引き落としができなかったことと再引き落としが行われることがハガキで通知されます。
また延滞が発生した翌日から3日程度で、クレジットカードが使えなくなり、延滞が解消されるまでは電話やハガキで督促が続き、カードが使えない状態も継続します。
2ヶ月以上延滞すると、信用情報機関に延滞情報が記録されてブラックリストとなってしまいます。
また、2ヶ月~3ヶ月滞納が続くとクレジットカードは強制解約となり、この強制解約が行われたことも信用情報機関に最長5年間登録されます。
これ以降の請求は一括請求に変わりますので、未納分や遅延損害金などを一括で支払うように取り立てを受けることになります。
これらの催促を無視して3ヶ月~6ヶ月程度経過すると、クレジットカードまたは債権回収会社から訴訟を起こされて強制執行が行われることもあります。
借金には時効がある
そもそも時効とは何かと言うと、その出来事から長い期間が経過した場合に、権利を取得したり喪失する法的な効果を認める制度になります。
クレジットカードのショッピング枠・キャッシング枠の延滞にも時効があり、一定期間が経過して時効成立となる手続き(時効援用の手続き)をとれば返済の義務は消滅します。
ただし、時効という制度はあるものの、実際には時効を狙って踏み倒そうとするのは非常に困難なことです。
どうしても支払いが難しい時には、時効を考えるよりも債務整理で借金問題を解決した方がリスクも少ないということを最初にお伝えしておきます。
クレジットカードの時効が成立する条件とは?
クレジットカードの時効を成立させるためには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。
2.「時効の中断理由」がないこと
3.「時効の援用手続き」を行うこと
1.最終返済から5年が経過していること
クレジットカード会社、消費者金融、カードローンなど、金融機関からの借金は、最後に返済をした日から5年以上経過していないと時効が認められないので、踏み倒しの最初のステップは返済を止めることと言えるでしょう。
口座引き落としで返済をしているなら、振込返済やATMから返済する設定に変更します。
銀行カードローンでお金を借りている場合は、その銀行の口座に預けているお金を全て引き出しておきます。これをやっておかないと口座凍結となった場合に借金を預金から相殺されてしまうことになります。
最初の大きなハードルはこの「5年間」になります。
なぜなら、ただ5年待てば良いとは言っても、この間には何度も取り立てが行われることになりますし、確実にブラックリスト入りするので生活に不便が出てくることになります。
また、後ほど詳しく解説しますが、債権者は時効成立を防ぐために様々な手段を用いてきますので、裁判を起こされる可能性があることも視野に入れておかなければいけません。
2.時効の中断理由がないこと
時効の中断の理由は、その名のとおり時効を迎えるまでの期間のカウントがリセットされる理由・出来事のことを指します。
極端な例ですが、あと1ヶ月で時効を迎えるというときでも、時効の中断の理由に該当することがあればそこでリセットされることになるので、時効中断の理由発生日からさらに5年経過しないと時効を迎えることができなくなります。
時効の中断の理由には以下のようなものがあります。
債務承認・返済の意思があることを認める
借金をしていることを認めてしまうと、そこからカウントし直すことになります。
例えば借金していることを認めるような発言をするとか、債権者に返済の猶予を求めるなど、お金を借りていることを自分で認めているような言動をとると、それが時効の中断理由となってしまいます。
また、借金の返済を催促された際に、「今は返済できないけど、ちゃんと返すつもりはある」と言って誤魔化したくなりますが、踏み倒すことが目的なら返済の意思を見せてはいけません。
「いつか返す」と言ってしまうだけでも返済の意思を見せることになるので、時効中断の理由になってしまいます。
また、時効期間は最後に返済をした日から計算されるので、1円でも返済してしまうとそこから5年間経たなければ時効成立とはなりません。
配達記録のついた郵便物を受け取る
配達記録のついた郵便、内容証明郵便などを受け取ることも時効の中断の理由になります。
難しいのですが、時効による踏み倒しを狙うなら、「自分はお金を借りていないし催促もされていない」という立場をとり続ける必要があるんです。
裁判を起こされてしまう
滞納期間が長くなり、催促をしても連絡が取れない、郵便物も受け取ってもらえないとなると債権者は裁判を起こすことがあります。
裁判所から「特別送達」という郵便が送られてきたら、それは訴状かもしれません。
訴状を無視すると、勝手に裁判が行われることになります。
債権者に非はないので一般的には債権者の勝訴となり、裁判所から支払い命令が出てしまいます。
判決が出てしまうと、時効期間は5年ではなくなり10年経過しないと時効が認められなくなります。
また、自分が知らないところで裁判によって時効の中断の判決が下っていることもあります。
例えば、債務者が引越しを繰り返して、債権者が現住所をわからなくなってしまった場合です。
債務者の自宅に訴状を送ることができなくても、裁判所の掲示板に「公示送達」という形で掲示をすることで裁判を起こすことができるんです。
この場合、訴訟されていることを郵便で知らされることもないですし、もちろんメールでお知らせがあるわけでもありません。裁判所の掲示板を見ないと訴えられていることがわからないんです。
公示送達によって起訴されて裁判が行われると、債務者は出廷することができません。
厳密には、裁判所の掲示板を見れば出廷できますが、その可能性は限りなく低いでしょう。
債務者が不在の状態で行われる裁判では、債権者の主張を受け入れたとみなされることになります。
自分が知らないところで時効の中断となるばかりか、判決で出た支払いを無視し続けることになるので、強制執行・差し押さえの流れになることもあります。
3.「時効の援用手続き」を行うこと
「時効の援用」は時効が完成したことを正式に主張することです。
1度も返済せず、債権者からの連絡も無視し続けて5年が経過しても、それだけでは時効の成立とはなりません。
時効援用通知を作成して、内容証明郵便で債権者に送ることで時効の援用となり、正式に借金を踏み倒すことができるわけです。
参照:借金が返せない・遅れる場合の正しい行動【キャッシング返済の時効は5年間!踏み倒せる?】
債権者は時効とならないように様々な対策をとってくる
当然ですが、債権者は時効を迎えることがないように、債務者に対して様々な手を使ってきます。
催促の電話が毎日かかってくる
まず、電話は毎日かかってくることになりますが、債務承認をしたり返済の意思を見せると、時効期間がそこから5年間延長されるので、無視するのがいちばん良く、留守録も避けるべきです(踏み倒したいなら※おすすめしませんが)。
この電話による催促は、返済を停止してから1年経ってもかかってくることになるので、非常にわずらわしいですし、他の電話にも出られないといった弊害も出てくるでしょう。
債権者からの電話に一切出ずに他の電話に出るための確実な方法は、債権者に教えている電話番号とは違う番号で、新しく携帯電話を用意することでしょう。
ただし、自分の名義で携帯電話を用意してしまうと、電話番号を調べられることもあるので、家族などの自分以外の名義で用意することになります。
債権者から勤務先にも電話がかかってくる
自宅や携帯電話にかかってくる電話を無視し続けると、催促は勤務先にも行われることになります。あなたが借金を返済せずにいることを、職場の上司など、同僚にバレてしまう可能性はゼロではありません。
債権者に裁判を起こされてしまう
時効が成立しないように、裁判などの法的手続きを取られることも実際にありえますし、特に借入額が大きい場合は裁判になる可能性も高くなります。
クレジットカードの借金を踏み倒すメリット
クレジットカードの借金を踏み倒すメリットは、やはり返済しないで済むということです。
かなり前であればグレーゾーン金利による高金利の貸付がありましたが、現在はどのカードローン業者も法的金利で融資を行なっています。
そのため、本来であれば正式に返済しないといけないお金を踏み倒そうとしているわけなので、メリットは唯一返済を免れられるということしかありません。
むしろ、借金の踏み倒しはデメリットの方が多いんです。
クレジットカードの借金を踏み倒すデメリット
時効は法律によって認められている効果なので、成立させることは不可能ではありませんが、実際に時効を適用されるのは非常に困難で、デメリットも多いんです。
ブラックリストに載る
踏み倒しが続いている間はブラックリストから解消されることはありません。
まず2ヶ月以上延滞した時点でブラックリスト入りして、その後、強制解約や代位弁済が行われると、その記録もブラックリストとして残ります。
ブラックリスト入りしている間は、お金を借りることもできませんし、もちろんクレジットカードも作ることができないので、生活に不便を感じることもあるでしょう。
後ろめたい、精神的にキツい
借金を踏み倒そうとしていることそのものが自分に重くのしかかってきて、精神的にとても辛い状態になることも容易に考えられます。
「悪いことをしてるな・・・」と意識があるのに、電話も郵便も無視しつづけなければいけないのは相当肝が座った人じゃないと毎日が辛くなり、ビクビク怯えるような生活になるかもしれません。
最低でも5年間、このような催促を受けながら精神的に圧迫された状態が続くことに耐え続けるのは簡単なことではありません。
しかもうっかり電話に出たり返済の意思を見せたら、カウントがゼロに戻ります。
踏み倒しを狙うよりも債務整理で法的に借金を減額・免責にしてもらった方が、はるかにメリットが多いことは間違いありません。
裁判になることもある
借入額が多いと、裁判を起こされることになります。
訴訟になると時効の中断理由となりますし、無視してしまうと最終的には差し押さえにまで発展してしまうこともあります。
50万円程度の借り入れでも差し押さえをされてしまうことがあるので、逆に考えると借金そのものが少額じゃないと時効によって踏み倒すことは難しいとも言えます。
クレジットカードの借金の時効の援用が失敗してしまうケース
クレジットカードの借金が時効を迎えるまでは最短でも5年かかるわけですが、この間に時効が中断されてしまうこともあり、そうなってしまうとカウントが振り出しに戻ることになります。
時効の援用が失敗する一般的なケースをご紹介します。
時効の起算日を間違えていた
時効の起算日となるのは、「最後に返済をした日の翌日」になります。
クレジットカードの場合は、「利用代金が口座から最後に引き落とされた日」が起算日になり、「最後にお買い物をした日」など、クレジットカードで決済をした日ではありませんので注意が必要です。
カード決済した日を時効の起算日と勘違いして、その日から5年経過後に「時効が成立しているはずです」と時効援用通知を送ったとします。
実際の時効成立日までまでにはまだ期間があるので、この時点からさらに5年間延長となってしまいます。
時効を迎えるまでの期間を勘違いしていた
起算日を勘違いしたり、また時効の中断となっていることを知らずに、5年経過したと勘違いをして時効援用の手続きを行なってしまうこともあります。
この場合、クレジットカード会社は正式に時効成立日を迎える前にわざわざ債務者の方から連絡をもらえた形になります。
もちろん、期間は5年間延長されることになりますし、今後は取り立てが再開することになるでしょう。
時効の中断理由があることをわかっていなかった
「少しくらい払ってやるか」と、1円でも返済するだけでも時効の中断理由になってしまうこともあります。
たとえば、債権者の方から「本当に困っているので1万円、いや1,000円だけで良いから返済してもらえませんか?」と催促されたとします。
ここで「1,000円なら、払ってやってもいいかな」と返済をしてしまうと、時効の中断理由になり、5年間延長されてしまいます。
払うつもりがない場合でも、「今は払えない」と返事をすることが債務承認となってしまうので、この返事をした時点から時効期間が振り出しに戻ることになります。
時効を成立させるためには、債権者に何を言われても5年間は無視し続けるド根性が必要です。
裁判所からの訴状なども無視してしまった
「特別送達」で送られてくる訴状を無視するとどうなるかというと、簡単に言うと勝手に裁判を起こされることになります。
多くの場合、債権者が勝訴するので、これまで払ってこなかった金額を一括請求されたり、お給料や銀行口座凍結などの差し押さえに発展してしまいます。
じゃあ、訴訟に応じたらどうなるのかというと、この場合も当然債権者には悪いところがないので、払うべきものは払いなさいという判決が出るでしょう。
そもそも借金の時効を狙う場合は、裁判を起こされないようにする必要があります。
裁判を起こされないためには借入額を少額にしておいて、債権者に「たったこれだけの金額のために裁判を起こすのは労力のムダ」と思われるしかありません。
しかし・・・、数十万円の少額の借り入れを踏み倒すために5年かけるのも、これこそ時間と労力のムダのような気がしませんか?
クレジットカードの時効(踏み倒し)は現実的に厳しい
クレジットカードの支払いを踏み倒して時効に持ち込むことは不可能ではありませんが、実践するのは難しいですし、安易に行うことはおすすめしません。
ここでは、クレジットカードの借金を踏み倒すべきではない理由を見ていきましょう。
信用を失ってしまうことがある
時効を成立させるための期間は、必ずブラックリスト入りしてしまいます。ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報が記録されることを指します。
2ヶ月以上の延滞からすでにブラックリスト入りしているのですが、時効の援用が成立したとしても、その「時効の援用」を行なったことが記録されることがあります。
・CICは?
CICには時効援用を行なったことが、時効成立から5年間記録されることになります。
・JICCは?
JICCには、時効援用の記録は残りませんが、債権譲渡の記録が1年間残ります。
債務者に変わって保証会社が返済を行う「代位弁済」が実行されると、債権はクレジットカード会社から保証会社に移ることになります(債権譲渡)。
JICCでは、時効援用の記録はつけないのですが、この債権譲渡が行われた記録が1年間残ることになります。
・KSC(全国銀行個人信用情報センター)は?
KSCには代位弁済を行なった記録が5年間残ることになり、時効援用の記録は残りません。
時効の援用手続きを行なった後は、完済した状態と同じと言えます。
信用情報機関3社のうち時効援用を行なったという記録がしっかり残るのはCICだけということになるのですが、信用情報機関は「CRIN」というネットワークがあり、重要な情報を共有することができるようになっています。
そのためCICにしか登録されていないことでも、JICC・KSC加盟店にもわかってしまうことになります。
時効を迎えるまでの期間はブラック状態ですし、時効が成立してから5年程度は「貸し倒れを起こした人」ということがわかる状態になります。
なお、時効期間が成立しても時効の援用をしなければブラックリストとして登録され続けますので、いずれの場合も、社会的信用に影響することが考えられます。
時効を狙っている間に、裁判を起こされることもあります。
単純に、「借金を踏み倒そうとして裁判を起こされた人」と聞いて、良い印象を抱く人はいないのではないでしょうか。
何かのきっかけで周囲にバレてしまった時に、友達関係、恋人関係の崩壊に発展してしまう可能性もあるかもしれません。
勤務先にも迷惑をかけることになる
債権者は何としても支払いを行なってもらいたいので、本人の携帯電話だけでなく、自宅、勤務先など、契約の際に本人が申告した連絡先全てに連絡を取ってきます。
貸金業者などからの連絡を無視し続けた場合に、止むを得ず勤務先などに連絡をするのは違法ではありませんので、実際に行われることがあります。
リスクがあることはわかったから手続きの方法を教えて欲しい!
借金を踏み倒すことにデメリットが多いこと、リスクも多いことはわかったけど、それでも検討したいという方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、債権者からの催促をくぐり抜けて5年間が経過した後の、時効の援用手続きの方法など、借金の踏み倒しに関する前向きな情報をまとめます。(決しておすすめはしませんよ!)
そもそも時効の手続きを弁護士・司法書士に頼めるの?
時効をあえて狙うということは債務整理とは異なるので、専門家に依頼できることではありません。
むしろ「よし!じゃあこれから5年かけて時効を狙うので、姿を隠してください」と言ってくる弁護士がいたら怪しすぎるでしょう。
ただし、「長期間返済が滞っている借金がある」とか、「催促は来ていなかったけど何かのきっかけで消費者金融からお金を借りていたことを思い出した」など、現時点ですでに何年も返済していない借金がある場合は直接債権者に連絡をせずに専門家に頼ることをおすすめします。
なぜなら、もしかしたら時効の援用ができる可能性があっても、債権者にコンタクトをとってしまった時点で時効の中断理由になるからです。
こういったケースでは、あえて返済をするよりも時効の援用を行った方が借金問題の解決につながるので、弁護士・司法書士も協力してくれるはずです。
また、すでに時効を迎えている場合も時効の援用を行わないとブラックリスト入りしたままの状態なので、援用手続きはやっておいた方が良いということになります。
こういった場合の援用手続きであれば専門家にお願いできますし、時効を迎えていなかったとしても任意整理などの債務整理についてアドバイスをもらうことができます。
「時効」は「時効の援用」をしないと有効とならない
繰り返しになりますが、クレジットカードの時効は5年経過するだけでは成立しません。
時効期間が成立しても時効の援用手続きを行なっていないと、「借金を滞納している状態」ということになるので、返済義務が残ったままになります。
時効を成立させるためには、時効の援用手続きを行なって法的に時効効果を有効にする必要があります。
債権者に対して「自分は消滅時効制度を使います」と伝えることが時効の援用の手続きになります。
時効の援用の具体的な手続き
時効の援用の手続きで行うことは、一般的には内容証明郵便を使って債権者に時効援用通知を送ることだけです。
時効援用通知書に決まった書式はありませんが、弁護士さんにアドバイスをもらっておくと安心でしょう。
念のため、時効援用通知書に記載すべきポイントを紹介します。
債権の内容が特定できる内容を記入すること
自分は借金があることをわかっていても、債権者は誰のどの借金を時効の援用にするのかがわかりません。
契約番号、借入人氏名、生年月日、住所(引っ越しをしている場合は契約時の住所も)、当初借入額など、本人を特定できる情報は必ず記載してください。
時効期間を迎えていることを記入すること
時効期間を迎えていることは必ず記入します。
時効期間を迎えているということは、最終返済日の翌日から5年以上経っているということなので、「最終返済日である〇年〇月〇日からすでに5年が経過しており、消滅時効期間が経過しております」などの形で、その日付と消滅時効期間が経過していることを具体的に記入するようにしましょう。
時効を援用することを明記すること
時効を援用するという主張も必ず記入しましょう。これは非常に重要な部分で、この一文を抜かしてしまうと時効援用通知書ではなくなってしまいます。
「本書面をもって下記債権の消滅時効を援用します。」などと記入するだけでOKなので、お忘れなく!
自分(援用者)の氏名、連絡先、日付
当たり前ですが、自分の氏名、連絡先などの差出人情報も必要です。
時効の援用では、いつ通知書を送ったのか(いつ援用を行なったのか)ということが後から問われる裁判になることがありますので、時効援用通知書を送った日の日付も必ず記載してください。
時効援用通知書の発送は、普通郵便ではなく内容証明郵便で送るようにしましょう。
時効援用が成立したことを証明してもらえる?
債権者からすると、5年以上も滞納しておきながらいきなり時効援用通知書を送られてくるわけなので、本心としては「なんやねん!」と思っていることでしょう。
だからというわけでもないのですが、時効援用処理を行なったことを連絡してくるか、またはこちらから問い合わせを行なった場合にきちんと回答してくれるかは、その債権者次第ということになり現段階では不明です。
ただ、一般的には「あなたの時効は成立しました」と親切に知らせてくれる債権者はごくごくわずかでしょう。
債権者から反論されることはあるの?
時効援用通知を送ることで「○年前に訴訟を行なっているので、時効にはなっていません」などと反論されてしまう可能性もあります。
自分が時効の起算日を勘違いしていることも考えられます。
債権者側の主張で時効援用が認められなかった場合は、事実がどうなのかを確認しなければいけません。
債権者に自分で裁判資料の開示を求めたり、取引履歴(返済履歴)の開示請求を行なうこともできるのですが、反論があった時点で、時効の援用がスムーズに行われることはなくなります。
場合の今後の手続きは、自分で進めるよりも弁護士・司法書士などの専門家に依頼した方が良いでしょう。
時効の援用手続きを行う前に必ずやっておくこと
時効援用通知書を送る前に、本当に時効期間を迎えているのかを確認しておくお必要があります。
時効が完了するまでには最低でも5年必要で、この5年の間に時効の中断理由に該当する項目があれば、振り出しに戻り延期となってしまうわけです。
公示送達で訴訟となった場合などは、自分が気がつかないうちに裁判となっていることも実際にありえますので、確認は必須です。
最終返済日を確認する方法
まずは最終返済日の翌日から5年経過していることを確認しましょう。
債権者からの督促状が残っていて、そこに最終返済日が記載されていたらすぐにわかります。
また、信用情報機関から自分の信用情報を開示請求して取り寄せることでも、ある程度の最終返済日はわかります。
この場合は、「CIC」、「JICC」、「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」のすべてから取り寄せましょう。
信用情報に「滞納」「返済」「代位弁済」などと書かれている時期があるので、その付近が最終返済日のはずです。
確実な日付がわからない場合は、そこから1~2ヶ月後くらいから5年間が経過していることを確認しましょう。
裁判を起こされていないかを確認する方法
次に確認することは裁判を起こされていないかどうかですが、これを確認するには債権者からの書類をチェックすることになります。
送られてくる書類に裁判所や事件番号などが記載されていれば過去に裁判を起こされていることになります。
ただし、債権者が債務者に送る書類に裁判内容を記載しなければいけないなどのルールはありません。そのため、記載されていないことの方が多いのが現実です。
ここで自分で債権者に連絡して「もしかして裁判起こしてます?」と聞いてしまうと、時効の中断理由になってしまうので、自分で確認するのはやめておいた方が良いでしょう。
裁判を起こされているかどうかを確認したい場合は、弁護士・司法書士などの専門家に依頼した方が賢明です。
時効が成立しなかったらどうなるの?
時効の援用手続きを行なっても時効が成立しなかったら、返済義務が残ることになります。
すでに遅延損害金が発生しており、一括返済を求められることもあるので、支払いが難しいかもしれません。
こういった場合は債務整理を行なって返済額を減らしてもらったり、自己破産で免責するという流れになるでしょう。
【まとめ】自分で時効の援用手続きをするのは不安・・・どうすればいい?
「もしかしたらあの時の借金が、時効期間が経過しているかもしれない」と心当たりがある場合は、自分ひとりでどうにかしようとしないで、その旨を専門家に相談することをおすすめします。
なぜなら正確な時効期間や過去の裁判について自分で調べようとすると、債権者に連絡をする必要性が生じてしまい、そこから時効期間が再度振り出しに戻ってしまう可能性があるからです。
また債権者はプロなので、債務者が直接連絡をすると援用が成立しないような様々な手段を取ってくるでしょう。
しかし、仮に時効期間が経過していたとしても、そのままにしておいても勝手に時効になることはありませんし、信用情報はブラックリスト入りしたままです。
1度でも返済の意思を見せたり、債権者と連絡をとることでも時効の中断となってしまうので、専門家のサポートを受けた方が確実です。
長期間返済していない借り入れがある場合は、自分の判断だけで時効にできるかを検討するのではなく、まずは弁護士・司法書士に相談してみてください。
※返済ができなくなった場合は、踏み倒すことを考えず、弁護士・司法書士に相談して債務整理を検討することをおすすめします。
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