債務整理は面談なしでも手続き可能?

債務整理を弁護士・司法書士に依頼するときには、電話やメールだけで相談するのではなく1度は事務所に行って、担当してくれる専門家と顔を合わせながら面談を行うのが一般的です。

でも、
「忙しくて弁護士事務所にいくのは大変」
「借金問題の相談だから顔を合わせたくない」
など、できれば面談には行きたくないというのが本音なのではないでしょうか。

しかし、そもそも面談なしで債務整理の手続きをすることは可能なのでしょうか?


もくじ

債務整理の依頼は基本的に面談が必要です

最初にお伝えしておきますと、債務整理を弁護士・司法書士にお願いする場合は面談が必要です。

面談をせずに債務整理を受けることは、
・日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」
・日本司法書士会連合会の「債務整理事件の処理に関する指針」

によって原則として禁止されているのです。

▼日本弁護士連合会の債務整理事件処理の規律を定める規程 第3条

弁護士は債務整理事件を受任するに当たっては、あらかじめ、当該事件を受任する予定の弁護士(中略)が当該債務者と自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取しなければならない。

引用元:債務整理事件処理の規律を定める規程

▼日本司法書士会連合会の債務整理事件の処理に関する指針

第5(面談)
債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、依頼者又はその法定代理人と直接面談して行うものとする。

引用元:債務整理事件の処理に関する指針

なぜ債務整理には面談が必要なのか?

日弁連の「債務整理事件処理の規律を定める規程」ができたのは平成23年2月、日本司法書士会連合会の「債務整理事件の処理に関する指針」ができたのは平成21年12月になります。

これ以前は債務整理の際、面談が必要とはなっていませんでした。

しかし、面談なしで債務整理を行うと危険を伴うことも考えられます。

法律家の仕事にも規律は必要

弁護士も司法書士も聖職ではなくひとつの商売です。

もちろん儲けることは悪いことではありませんし、儲けがないとお仕事を続けることができなくなってしまいます。

しかし、法律を仕事の道具として使う以上は一般職とは異なる業種であることも間違いありませんので、モラルや倫理観は一般市民以上以上に問われることになります。

しかし残念ながら、法律家に対してこういった規程や指針が定められるということは、それ以前にモラルに反するような行いが非常に多かったということなんです。

儲けを出す目的で電話やメールだけで大量の任意整理や過払金請求を請け負って、実務は事務所スタッフに丸投げというやり方をしている弁護士もいたのだそうです。

債務者を守る意味もある

近年は、債務整理にかかわらず本人確認が厳重に行われるようになってきています。

お金を借りるときも本人確認書類の提出は必須ですし、銀行口座を開く時にも確認されることになります。

もし本人に会わず債務整理を行なってしまったら、依頼人が債務者本人であるかどうかがわからないということになります。

本人は債務整理をするつもりはないのに家族が債務者のふりをして申し込むこともできるわけです。

以前は本人確認体制が実際にずさんだったので、家族が委任状を勝手に書いて債務整理をするということも実際にありました。

債務整理は、こんななりすましのような形で行うものではありませんし、任意整理を依頼して過払金が発生することがわかった場合に、本人以外の人がお金を手にすることができてしまうという危険性もあります。

債務整理について十分な説明が受けられない

電話だけで依頼ができてしまうと、きちんとした説明を受けられないまま債務整理手続きが始まってしまうことになります。

債務整理は借金問題を法的に解決するための手段ですが、ペナルティやリスクもあります。

債務整理を行うと、必ずブラックリスト入りすることになります。

また、任意整理・特定調停・個人再生では、債務整理が終了しても返済義務は残ります。

こういった不利益を被る可能性もあることを本人が理解していないと、自分が意図していない債務整理が行われることになってしまいます。

債務整理は料金がわかりにくい!

債務整理の際、弁護士・司法書士へ支払う費用には、着手金、経費、報酬などがあり、報酬はさらに細かく分類され、これらとは別に裁判所に支払う予納金などもあります。

また、任意整理によって減額できる金額、また過払い金があればお金が戻ってくることになります。

問題なのは、これらのお金に関する部分が依頼する側にはわからないことです。

費用に関しては言われた通りの金額を用意するしかありません。
しかし、電話やメールで金額だけ言われても、その価格が妥当なのかわからないことになります。

弁護士・司法書士との面談にはお金のトラブルを防ぐという目的もあります。

直接顔を合わせる面談を行なって過去の事例や報酬のルールなどを明示しながら、できるだけわかりやすく説明することも弁護士・司法書士に義務付けられているのです。

面談なしで債務整理を行なっている弁護士もいるみたいだけど?

インターネットで調べてみると、面談なしで債務整理を請け負っている弁護士・司法書士も実際に見つかりますが、それには主に2つのパターンがあります。

1.遠方からの依頼の場合は面談なしとしているケース

日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」では、「特段の事情」がある場合はこの限りではないとされています。

ここを拡大解釈すると、特段の事情があれば「債務整理の際の面談は必要不可欠なことではない」と受け取ることもできるわけです。

実際、「原則面談は行うけど、特段の事情がある場合は来所しての面談は行わない」としている弁護士事務所もあります。

以下は、実際にインターネットで見つけた「債務整理の際に面談が不要」となる例です。

・地方に住んでいるけど、東京の弁護士事務所に依頼したい
・緊急性が高い
・事案の性質上、面談が不要と思われる
・面談に伺うには交通手段が厳しい
・健康状態が芳しくない
・仕事が忙しく面談の都合がつかない
など

どのような理由であれ、面談なしで債務整理を依頼できればありがたいと思う人も実際は多いでしょう。

依頼人の事情に合わせて柔軟に対応していると言われれば、困っている人に寄り添っているように感じられますが、その一方で

・面談なしで債務整理を請け負うのは規定違反である
・遠方だからという理由は「特段の事情」に該当しない、理由になっていない

など厳しい意見を発信している専門家もいます。

また、単純に気になる弁護士事務所が遠いという事情は「特段の事情」には該当しないため、自分の事務所ではなく面談可能なお近くの専門家に債務整理を依頼することを堂々とおすすめしている弁護士もいます。

こういった弁護士さんは自分の儲けよりも、借金問題で困っている人の利益を真剣に考えていると判断できるのではないでしょうか。

現実問題として面談なしで債務整理ができれば確かにありがたいですし、「弁護士が面談なしで良いと言っているのだから、何も問題はないのでは?」と思う人もいるでしょう。

こういった専門家に債務整理を依頼する場合は、説明不足になる可能性もあることは理解しておいてください。

2.過払い金返還請求は面談が不要?

弁護士会のルールではすでに借金を完済している人の過払い金返還請求に限っては、そこまで複雑な問題がないことから、直接の面談なしで請け負っても良いということになっています。

そのため完済済みの人が過払い金返還請求を弁護士に依頼する場合は、面談をしなくても明確な規定違反とは言えないこともありますが、規程がないために、十分に説明をせずにずさんと言われても仕方がない対応をしている専門家も残念ながら存在しているようです。

また過払い金返還請求では、利息制限法の上限金利による金利の引き直し計算を行なって、過払い金が発生しているかどうかを確認するのですが、この計算を行なってくれるのは弁護士・司法書士事務所になります。

私たちも自分で計算することは可能なのですが、過払い金の正確な金額を出すには過去に払ってきた利息と金利、返済していた期間などの正確な情報が必要になります。

こういった面倒なことを代わりに行なってくれるのも債務整理を弁護士・司法書士に依頼するメリットなのです。

しかし、全てをお願いするということは、依頼する側にもある程度の知識がないと過払い金を少なく見積もられてもわからないということになります。

実際、2020年7月にも東京の大手法律事務所が過払い金約30億円を依頼人に返還せずに流用した疑いがあるとの衝撃的なニュースがありました。

同事務所は2020年6月に東京地裁から破産手続きの開始決定を受けています。

コマーシャルでもおなじみだった非常に知名度の高い法律事務所が破産したわけです。

こういったことを行うのはごくごく一部の限られた人だけですが、法律家といえども聖職ではないということがよくわかる事例だと思います。

完済済みの過払い金返還請求だからこそ、きちんと面談を行なって相手が信頼できる人かどうか、自分と相性が良いどうかを見極めることをおすすめします。

債務整理を面談なしで行うデメリットとは?

債務整理を面談なしで行うということは、多くのデメリット抱えることになります。

質が低い専門家に当たる可能性もある

現在は、弁護士・司法書士ともに数が増えていて利用者の取り合いになっています。

かなり落ち着いてきましたが過払い金返還請求のコマーシャルを頻繁に見かけていた時期もあったのではないでしょうか。

多くの弁護士・司法書士が面談を行なっている中で、面談なしで債務整理を引き受けるということは、何かしら理由があると思われます。

単純に利益の追求のためだけに簡単に依頼を引き受けるというケースもあるでしょう。

とにかく実績数を増やすために電話やメールといった簡単な方法で依頼を引き受けて、本来ならもっと交渉できるところを低い金額だけで和解するという方法もあります。

低い金額なら債権者も交渉に乗ってきやすいですし、債務者の「お金が戻ってくるだけありがたい」という気持ちを利用したやり方です。

債務整理について十分な説明を受けることができない

債務整理は法律に基づく手続きになるので、裁判所に提出する必要書類も多いですし手続き内容も複雑です。

面談を行わないと、いったいどのような手順で債務整理が進められるのかが不明瞭のまま進んでいくことにもなりかねません。

債務整理には任意整理特定調停個人再生自己破産の4種類あります。

自分は任意整理を行いたいと思っていても、弁護士・司法書士からは自己破産をすすめられるケースもあるでしょう。

意見の相違がある場合に、面談せずに電話やメールだけだと真意が伝わらないこともあり、こういった状態のまま債務整理を進めても、不本意な結果で終わってしまうことになります。

債務整理の費用が不明瞭

すごく当たり前ですが債務整理を依頼された専門家は必要な費用も詳細までわかりますし、過払い金がある場合はその金額もわかっているわけです。

言い方は良くないですが、費用に関しては依頼者はいいなりということになります。

絶対にあってはならないことですが、
・規定よりも高い費用で請求をしていた
・回収した過払い金をごまかして着服していた
・依頼されていないのに勝手に過払い金返還請求を行なっていた

などの事例が実際にあったこともわかっています。

費用は項目ごとに書面で出してもらって、不明確なところや高すぎると感じる場合は、きちんと確認すべきでしょう。

債務整理のリスクを理解しにくい

債務整理の手続きでは、利息制限法の上限金利による金利の引き直し計算を行うのですが、この段階で過払い金があることが発覚する場合があります。

借金の額よりも過払い金が多ければ、債務整理ではなく過払い金返還請求の手続きになるため、この場合はブラックリストには載りません。

しかし、過払い金返還請求を行なっても債務が残る場合や、任意整理や自己破産といった債務整理を行うとブラックリストに載ることになります。

ブラックリストに載る期間は、任意整理なら最長5年間、個人再生・自己破産なら5年〜10年と決まっており、この間はクレジットカードを作ることができない、お金を借りることができない、住宅ローンを組めない(審査に通らない)などのデメリットがあります。

直接面談をしていれば債務整理のリスクやデメリットも詳しく聞くことができますが、電話やメールでは複雑な話を理解するのは困難です。

いくら借金問題を解決したくても、リスクやデメリットを把握しないしまま債務整理を行うのは危険です。

面談なしだと安心できない

面談なしということは、手軽という反面、こちらが知りたいことも伝えにくいですし、専門家の考えも伝わりにくいというデメリットもあります。

直接弁護士や司法書士に会うことができれば自分が抱えているお金の悩みを詳しく相談することができますが、電話では詳細を伝えるのが難しいものです。

自分と一緒に戦ってくれる弁護士・司法書士の顔もわからない、人相や人柄もわからないとなると、本当に安心してお任せしても良いのか判断もしにくいでしょう。

弁護士・司法書士と面談できない時にはどうすればいいの?

そもそも自宅や会社の近くに弁護士・司法書士事務所がない場合や、事情があって近くの専門家には依頼したくないといった場合はどうすれば良いのでしょうか?

まずは電話・メールで専門家に債務整理について相談する

最初は電話やメール、またはチャットなどで、債務整理について専門家に相談をすることができますので、この時に、面談に行きにくいということを伝えてみてください。

もちろん、これだけで債務整理の際の面談を省略できることにはならないですが、返答によって相手の人柄などがわかることもあります。

事前に相談しておくことで面談の時にはスムーズに話を進めることができますし、こういった連絡をとることで、ぜひ担当弁護士に面談してもらいたいと考えが変わるかもしれませんよ。

出張面談を利用する

弁護士・司法書士事務所の中には、遠方でも出張して面談を行なってくれる場合もあります。

規定では直接面談をすることを大前提としていますが場所の指定はないので、必ずしも事務所に足を運ぶ必要はないのです。

場合によっては土日でも最寄駅近くのカフェなどに弁護士が来てくれることもあります。

ただし、全ての弁護士・司法書士事務所が出張面接を請け負っているわけではないので、事前に確認してみると良いでしょう。

【まとめ】債務整理の手続きは面談を行うことは大前提!

遠方であるとか、仕事が忙しくて面談の都合がつかないという事情は誰にでもありますが、債務整理を依頼するなら弁護士・司法書士と面談をすることは大前提です。

債務整理の際、直接の面談を省略できるケースは確かにあるのですが、面談は絶対の義務ではないからこそ遵守するように心がけている弁護士・司法書士に依頼した方が安心です。

すでに借金の返済が終わっていて過払い金返還請求を行うという場合でも、面談を行なっている弁護士・司法書士に依頼する方が安心できることは間違いないです。

過払い金返還請求は、自分のお金を取り戻すための手続きなので、そのくらいの手間はかけても良いのではないでしょうか。

「うちの事務所は面談を行います」と謳っている弁護士事務所・司法書士事務所は、利用者の利益を真剣に考えている事務所と言い換えても良いでしょう。

安易に「面談なしの方がラクだから面談不要の事務所で債務整理をしよう!」とは考えないようにしてください。

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