貸付自粛制度とは?撤回できる?メリット・デメリット

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カードローンはちょっとお金が足りない時などに便利なものですが、借りすぎには気をつけなければいけません。

しかし、お金を借りすぎてはいけないことは誰もがわかっていても、借金がやめられない人もいます。

そういったときに利用を検討したいのが「貸付自粛制度」です。

貸付自粛制度とはどのような制度なのか?その内容とメリット・デメリットなどをご紹介しますので、お金をつい使いすぎてしまう方や家族の浪費が心配という方は検討してみてください。


もくじ

貸付自粛制度とは?

貸付自粛制度は、自分自身に借金ができないようにするための仕組みです。

本当に必要なお金をカードローンなどで計画的に借りることはあっても、ギャンブルや自分の欲を満たすための浪費として借り入れをすることは避けたいものですが、中には自分で自分を抑えられない人もいます。

例えばギャンブル依存症であったり著しい浪費癖がある人は、自分が借金で苦労するだけでなく、家族の幸せな生活にも悪い影響を与えてしまう可能性があります。

そういった場合に備えて、最初から貸金業者や銀行カードローンの審査に通らないように登録しておくのが貸付自粛制度なのです。

貸付自粛制度の仕組み

貸付自粛制度は日本貸金業協会(または全国銀行個人信用情報センター)に申告をすることで、金融機関からの借り入れを一定期間制限することができる制度です。

貸付自粛制度に申し込みをすると、日本貸金業協会の登録先である日本信用情報機構(JICC)・シーアイシーに貸付自粛情報が登録されます。

また、連携している全国銀行個人信用情報センターにも情報が共有されることになります。

日本信用情報機構(JICC)・シーアイシー・全国銀行個人信用情報センターの3社全てに貸付自粛情報が登録されることになりますので、消費者金融やクレジットカード、信販会社などの貸金業者と銀行カードローンなどからお金を借りることができなくなります。

なお、以前は日本信用情報機構(JICC)・シーアイシーの2社が貸付自粛制度に対応していたのですが、2019年3月29日より全国銀行個人信用情報センターも連携対応することになっています。

貸付自粛制度に登録するとどうなるの?

貸付自粛制度の申し込みは日本貸金業協会または全国銀行個人情報センターに行います。どちらに申し込みをしても情報は共有されます。

申し込みをすると、信用情報機関である日本信用情報機構、シー・アイ・シー、全国銀行個人信用情報センターに貸付自粛制度を利用していることが登録されることになります。

貸付自粛制度に登録をした人が、消費者金融に新規申し込みをしたとします。

消費者金融側は通常通り審査を行うのですが、この審査の際に必ず信用情報機関に登録されている個人信用情報が照会されることになります。

このときに貸付自粛制度を利用していることがわかることになるので、申し込みを受けた消費者金融側が「この人は貸付自粛制度を利用しているから、お金を貸すことをやめておこう」と判断することになるのです。

簡単にいうと、「貸付自粛制度に登録している間は、新規申し込みの審査に通らない」ということになりますね。

貸付自粛制度のメリット

貸付自粛制度に登録する最大のメリットは、やはりお金を簡単には借りられなくなることです。

お金が借りにくくなる

浪費癖がある人やギャンブル依存症の人などは、自分のお財布に無理のない範囲でお金を使うというコントロールができません。

無計画にお金を借りてしまって返済に困ってしまい、最終的には債務整理に陥る事態にならないように、最初からお金を借りにくい状態にしておくというのが貸付自粛制度を利用する最大のメリットになるでしょう。

貸付自粛制度のデメリット

貸付自粛制度のデメリットは主に3つあります。

撤回ができてしまう

貸付自粛制度に申し込みをするときは「借金を完済するぞ!」「もう絶対にお金は借りないぞ!」と心に誓っても、やっぱりお金を借りたいと思うこともあるかもしれません。

そういった自制心がぐらつきそうな時に備えておくのが貸付自粛制度の意義でもあるのですが、意外と簡単に撤回することができてしまいます。

貸付自粛制度に登録をすると3ヶ月間は取り消しができないのですが、逆に3ヶ月経過すれば本人がすぐに撤回することができるので、家族の強い希望があって貸付自粛制度に登録したのに、本人が取り消してしまった・・・ということもあり得るでしょう。

闇金に手を出す可能性もある

貸付自粛制度は「日本信用情報機構、シー・アイ・シー、全国銀行個人信用情報センター」のいずれかに加盟している貸金業者・銀行が対象になるので、非加盟の業者には効力がないということになります。

例えば闇金は法律を無視して違法な貸付を行なっているので、貸付自粛制度によって消費者金融・銀行カードローンの審査に通らなかった人にも法外な金利で貸付を行います。

むしろ、こういったお金に困っている人を狙った貸付を行うのが闇金の手口なので、貸付自粛制度を利用してお金を借りられなくなったことをきっかけに闇金に手を出してしまう可能性もあります。

本当にお金が必要なときでも借りられない

貸付自粛制度に申し込みをすると、最低でも3ヶ月間は登録を解除することができません。

そのためこの期間は本当に必要なお金を借りることもできないので、急な出費には注意しなければいけません。

貸付自粛制度の登録内容・登録期間など

ここでは貸付自粛制度の登録内容や有効期間、申し込み方法など、制度の内容を詳しく解説します。

なお、全国銀行個人信用情報センターへの申し込みは郵送のみとなりますので、ここでは日本貸金業協会への申し込み方法をご紹介しています。

貸付自粛として登録される情報 氏名・性別・生年月日・住所・携帯電話番号(または自宅電話番号)・勤務先名・勤務先電話番号
登録に必要な期間 申し込みから3営業日程度
貸付自粛制度の有効期間 信用情報機関に登録されてから5年以内
登録される信用情報機関 (株)日本信用情報機構
(株)シー・アイ・シー
全国銀行個人信用情報センター
申し込み方法 ・インターネット
・郵送
・来協
※全国銀行個人信用情報センターへの申し込みは郵送のみとなります
申し込みができる人 本人または法定代理人など
※家族や配偶者が手続きをすることは原則不可

 

貸付自粛制度の申込に必要な書類など

貸付自粛制度に申し込む場合、本人確認書類が2点必要です。

・運転免許証/運転経歴証明書
・マイナンバーカード(通知カードは不可)
・各種健康保険証
・パスポート
・年金手帳
・各種福祉手帳
・在留カード
・住民基本台帳カード
などの中から2点

郵送で貸付自粛制度に申し込みをする場合は、住民票の原本(コピー不可)など一部原本の提出を求められることがあります。

また、来協して貸付自粛制度に申し込みをする場合は、本人確認書類2点とも原本が必要です。

貸付自粛制度に申し込みができるのは原則本人のみ

貸付自粛制度に申し込みができるのは原則として本人となります。代理人などが申告できるケースは以下のとおりです。

1.法定代理人など(成年後見人・未成年者の親権者など)

本人に成年後見人がついている場合や、本人が未成年の場合は法定代理人などが申請をすることができます。この場合は自粛対象者との関係がわかる書類が必要です。(戸籍全部事項証明書など)

2.自粛対象者が所在不明(失踪中)である場合

自粛対象者が失踪中で所在不明である場合は、配偶者または二親等内の親族が申請することもできます。

自粛対象者との関係がわかる書類に加え、対象者が所在不明であることが客観的な事実により証明できる書類が必要です。(家庭裁判所が発行する失踪宣言の審判書など)

配偶者または二親等内の親族が申請することが著しく困難な場合は三親等内の親族および同居の親族が申請することもできます。

いずれの場合も本人以外が貸付自粛制度に申し込みできるケースは限られていますので、詳しくは以下に問い合わせて最新情報を確認してください。

▼日本貸金業協会 相談・紛争解決窓口
0570-051-051
受付時間:9:00~17:00(土・日・祝休日・12/29~1/4を除く)

貸付自粛制度の申し込み方法

貸付自粛制度の申し込み方法はインターネット・郵送・来協の3種類あります。

※全国銀行個人信用情報センターへの申し込みは郵送のみ

いちばん手軽で早く対応してもらえる申し込み方法はインターネット申し込みになります。

インターネットで貸付自粛制度に申し込む

日本貸金業協会の貸付自粛制度申し込みフォームから申請します。

<参考>:日本貸金業協会 貸付自粛制度について

インターネットから貸付自粛制度に申し込みをすると、平日に日本貸金業協会から本人確認の電話がかかってくるので対応するようにしましょう。

郵送で貸付自粛制度に申し込む

郵送で貸付自粛制度に申し込む場合は、必要書類がやや多めになります。

必ず「日本貸金業協会 郵送による貸付自粛のお申込手続きについて」を確認して書類に不備がないようにしてください。

▼郵送での申し込みに必要なもの
・本人確認書類2点
・申告書
・返信用切手404円分
・貸付自粛申告確認書(申告理由がギャンブルの場合)

※申告書はこちらからダウンロードすることができます。
※記入見本はこちらです。

また、貸付自粛を希望する理由がギャンブルなどである場合は、「貸付自粛申告確認書」の提出も必要になります。

▼郵送書類の送り先
送付先は最寄りの各支部または貸金業相談・紛争解決センターになります。

最寄りの支部情報と送付先住所は、こちらの「日本貸金業協会 郵送による貸付自粛のお申込手続きについて」に記載されています。

申告書到着後に電話による本人確認が行われますので対応するようにしましょう。

本人確認がとれたら3営業日以内に手続きが行われて、申告書の控えが1週間程度で送られてきます。

来協して貸付自粛制度に申し込む

日本貸金業協会に事前連絡をして来協します。最寄りの支部はこちらからご確認ください。

来協申し込みをする場合は、必ず最寄りの支部に電話で問い合わせを行なって、開設日時を確認してください。

申告理由がギャンブルの場合は「貸付自粛申告確認書」の記入と状況の聴取が行われます。

本人確認書類も2点必要になりますので、事前に準備しておきましょう。

貸付自粛制度の注意点

貸付自粛制度の登録をする前に、ぜひ知っておきたい注意点をまとめます。

申し込みができるのは本人だけ

貸付自粛制度に申し込みができるのは、原則として本人のみになります。

仮に夫の浪費に妻と子供が困っているとしても、申請できるのは夫本人だけとなり家族が夫への貸付自粛を要請することはできません。

本人以外で申請できるケースは主に2種類になります。

ひとつは本人が未成年であったり成年後見人がついている場合で、このケースでは法定代理人(成年後見人・未成年者の親権者など)が申請をすることができます。

もうひとつは本人が行方不明になっている場合で、このケースでは配偶者でも貸付自粛申し込みができるのですが、逆に考えるとこういった非常に特殊なケースでない限りは配偶者や家族が本人の代わりに貸付自粛を希望することはできないのです。

家族の借金に困り果てているというケースでも、本人が申告しない限りは貸付自粛制度を利用することはできないということになるので、「借金をやめさせるため」の使い方はできないことになります。

3ヶ月間は撤回ができない

貸付自粛制度に申し込みをすると、3ヶ月間は登録を取り消すことができません。

この3ヶ月間はカードローンなどでお金を借りられなくなるのですが、影響範囲はキャッシングだけではありません。

貸付自粛制度は与信審査が行われるケースに幅広く影響します。

例えば、クレジットカードの新規申し込みです。貸付自粛制度に登録している間は、クレジットカードの新規作成ができなくなります。

現在持っているクレジットカードは利用できますが、キャッシング枠の増額はできません。

また住宅ローンにも影響しますので、住宅ローン申請をしてもローンを組むことはできません(※現在組んでいる住宅ローンへの影響はありません)。

さらに貸付自粛制度を利用するとショッピングローンや各種分割払いもできなくなってしまうので、スマホ本体を分割払いで購入することもできなくなります。

貸付自粛制度は、お金を借りられなくなるというだけでなく、日常生活にも影響するということも理解しておく必要があります。

すでに契約しているカードローン等には適用されない

貸付自粛制度は新規の貸付やクレジットカードの発行を行わないための制度です。

そのため、すでに契約しているカードローンは今まで通り使うことができますし、クレジットカードも利用できてしまいます。

貸付自粛制度を利用することを決めたら、契約済みのカードローンを解除したりクレジットカードのキャッシング枠を外しておくなどの対策も一緒に行なっておくと借金が増えにくくなるでしょう。

貸付自粛制度の効力は絶対ではない

貸付自粛制度は日本信用情報機構、シー・アイ・シー、全国銀行個人信用情報センターの3つの信用情報機関に加盟している金融機関に対して貸付自粛を促す制度です。

貸付自粛制度に登録している間は、基本的にお金を借りることはできないと思っていて大丈夫なのですが、絶対的な強制力があるわけではありません。

また個人間での借り入れは全く制限されません。

信用情報機関に加盟していない闇金などからもお金を借りることができるので、どこからもお金を借りられなくなるということもありません。

消費者金融など正規の貸金業者から借りられなくなってしまったために、闇金や悪質な業者に手を出してしまった・・・という事態にならないように本人も家族も十分に注意をしなければいけません。

まとめ:貸付自粛制度は自分自身の抑止力として利用しよう

ギャンブル依存症や浪費癖は根性や精神論だけではどうにもできないことがあり、借金が増えすぎてしまって債務整理をした人でも、再度返済できないほどの借り入れをしてしまうこともあります。

貸付自粛制度を利用しても3ヶ月経過すればすぐに撤回できたり、闇金からの借り入れのリスクもありますが、借金を増やしてしまいそうな時の抑止力として利用することができるでしょう。

もう絶対に借金はしないという強い覚悟を持って貸付自粛制度に申し込みをしたら、家族にも協力してもらって安易な借り入れを行わないような対策を整えていきましょう。


   

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