債権回収会社とは?

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近年は詐欺の手口が巧妙化していて、不審なメールが届くのは当たり前で、スマホのショートメッセージやLINEにもなりすましが増えています。

そんな中で、知らない会社からお金に関する書面が届いても無視したくなってしまいそうですが、もしかしたらそれはとても重要な知らせかもしれません。

特にお金を借りている人、借りたことがある人は注意してください。

送り主が「債権回収会社」だったら、放っておくと法的措置に進んでしまうことになります。

債権回収会社とはどんな会社なのか、債権回収会社から書面が届いたらどうすべきなのか詳しく解説します。

また、債権回収会社の名をかたる架空請求詐欺についても注意喚起が行われていますので、手口や対策などもご紹介していきます。


もくじ

債権回収会社とは?

お金を貸している側を「債権者」、借りている側を「債務者」と呼ぶことはご存知かと思います。

「債権回収」を簡単に言うと「借金の取り立て」になり、債務者が滞納している借金を取り立てる回収業務を法的に認められている会社のことを債権回収会社と言います。

債権回収会社は法務省に許可を得て業務を行っているのですが、この許可をもらうのは非常に大変で、債権回収会社を営むには「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」によって主に以下の規定があります。

・資本金が5億円以上の株式会社であること
・常務に従事する取締役の中に、その職務を構成かつ的確に遂行する知識と経験がある弁護士がいること
・暴力団との関わりがないこと
・法務大臣の許可があること

<参考>:e-Gov債権管理回収業に関する特別措置法 第5条「許可の基準」

債権回収会社は非常に厳しい条件の元に業務を行なっているのです。

債権回収会社と金融機関はどういう関係?

借金の取り立ては、通常であればお金を貸している金融機関が直接行います。

例えば消費者金融から借りていたら、その消費者金融から電話や書面などで取り立てられることになります。

何度取り立てをしても滞納が解消されない場合に、金融機関が債権回収会社に債権を譲渡したり、回収業務を委託することで債権回収会社による取り立てが始まることになるのです。

金融機関にとって債権回収会社は、手数料を払うことで回収が難しい債権(不良債権)を丸ごとお願いできることになるので、非常に便利な機関となります。

債権回収会社の方は、様々な金融機関から買い取った債権を回収することで利益を上げることになります。

債権回収会社が回収するのは借金だけ?

債権回収は借金の取り立てとお伝えしましたが、銀行カードローンや消費者金融からの現金の借り入れ以外でも、債権回収会社の名前を目にすることはあります。

債権回収会社はあらゆる金融機関の取り立てを行うので、例えばクレジットカードの支払い、各種ローンの支払いなども滞納が続くと債権回収会社からの取り立てが行われることがあります。

債権回収会社から督促が来るときってどんな時?

借金を滞納すると、まずはお金を貸している金融機関から取り立てを受けることになります。この取り立ては当然何度も行われることになります。

債権回収会社に債権を譲渡するには手数料がかかります。本来であれば不要な手数料を支払って依頼しないといけないことになるので、まずは自社で何度も督促を行うのです。

それでも支払ってもらえないとなると、元金と利息を全額諦めなければいけません。そういった丸ごと損をすることがないように債権回収会社に手数料を支払って依頼をするのです。

そのため債権が金融機関から債権回収会社に移ったということは、滞納している側はそれだけ切羽詰まった状況になったと判断する必要があります。

債権回収会社の督促に応じなかったらどうなるの?

ここでは債権回収会社に債権が移ったけれど、滞納が解消されなかった場合の一般的な流れを見ていきましょう。

ステップ1:債権が譲渡された通知が届く

最初に債権回収会社から届く書面は、債権回収会社が金融機関から債権を譲渡された(債権回収を委託された)ことを知らせる通知になります。

ステップ2:債権回収会社からの督促が始まる

債権回収会社より滞納している金額を支払い期限までに全額一括で返済するようにと記載された督促状が届きます。この督促は、ステップ1の通知と同時に行われることも非常に多くなっています。

債権回収会社から督促される金額は、自分が把握している額よりも多いことがあります。

それは、元金と利息に規定の遅延損害金が加えられているためです。

債権回収会社からの督促は、書面や電話で行われるのが通常ですが、自宅に担当者が訪問してくることもあります。

ステップ3:法的手段に移ることが記載された内容証明郵便が届く

債権回収会社からの督促を無視していると、法的手段に移ることが記載された内容証明郵便が届くことになります。

内容証明郵便が届いたら、いつ法的手続きに移ってもおかしくないと思っておく必要があります。

ステップ4:裁判所から支払督促や訴状が届く

督促を無視し続けると、いよいよ法的手続きが行われることになり裁判となります。

この場合の裁判には、「支払督促」と「訴状」があり、裁判所の名称が入った「特別送達郵便」で送られてきます。

受け取りはポストではなく本人または同居の家族などへの手渡しとなります。

支払督促

支払督促は申立人の申し立てのみに基づいて、簡易裁判所が相手に支払いを命じる制度で、通常の裁判よりもより簡易的な裁判になります。

支払督促が行われる場合は、まず相手方(債務者)の言い分を聞くことなく支払いを命じられる支払督促が届くことになります。

支払督促が届いても異議を出さず、支払いも行なわず、滞納が解消されなかった場合は、債権者は強制執行を申し立てることもできますので、放置しておいてはいけません。

支払督促が届いてから異議を提出できる期間は2週間です。異議を出せば支払督促ではなく訴訟になります。訴訟については次の「訴状」項目を確認してください。

訴状

訴状は、裁判を起こした原告(債権回収会社)が裁判所に提出する書類です。裁判所は訴状を受理したら被告(債務者)にも送達します。ここで債務者に訴状が届くことになります。

訴状には答弁書を提出するようにとの案内と、呼び出し期日などが書かれた書類も同封されています。

訴状を無視して答弁書も出さず呼び出し期日も無視していると、債務者不在で裁判が行われて、原告の主張通りの判決が下されることになります。(欠席判決)

裁判が終わると判決の内容が記された判決書が送達されます。そこから2週間経過すると判決が確定します。

これで債権回収会社は債務者に対して強制執行ができるようになるため、給料や預金を差し押さえられることもあります。

訴状・支払督促のどちらが届いても、無視し続けていると最終的には差し押さえることができるのです。

債権回収会社から連絡がきたらどうすればいいの?

もうお分かりかと思いますが、債権回収会社から連絡がきたら無視してはいけません。

債権回収会社は借金を回収するために存在する会社なので、債権回収会社から連絡がきたら「いつ強制執行(差し押さえ)になってもおかしくない状況」なのです。

債権回収会社という名称はちょっと怖いようにも感じられますが、決して脅してくるような怖いことは行わず、法律に従って取り立てを行なってきます。

しかし、金融機関が待てるところまで待ったけど返してもらえない場合に止むを得ず利用するのが債権回収会社なので、債権が移ったということは相手の対応もハッキリと変わったということを深く自覚すべきでしょう。

債権回収会社から連絡がきたら、もちろん支払いをするのがベストなのですが、払えない場合でも絶対に放置せずにまずは電話で連絡をするようにしてください。

連絡先はお金を借りた金融機関ではなく債権回収会社になります。

債権回収会社から届く書面に連絡先が必ず記載されていますので、そちらに電話をかけましょう。

返済ができないときの対応方法は?

債権回収会社に連絡をしたところで支払いなんてとてもできないよ・・・という場合は、債務整理を検討することをおすすめします。

債務整理は借金を法的に減額または免責とする手続きになりますので、借金そのものを減らすことができて返済しやすくなります。

債権が金融機関から債権回収会社に移ったということは、どのような事情があっても支払いができないと最終的には差し押さえになります。

裁判で差し押さえが決まってしまった後では、弁護士などの専門家に相談しても差し押さえをやめてもらえるなどの温和な対応は期待できません。

債権回収会社から連絡がきて、返済方法を交渉したけど乗ってもらえなかった場合や、交渉に成功したけどやっぱり返済できなかった場合などは、速やかに弁護士・司法書士に相談して債務整理を検討しましょう。

また、個人で債権回収会社に交渉したけど聞いてもらえないような時でも、弁護士・司法書士からの交渉であれば検討してもらえることもあります。

「債権回収会社から連絡がきたけど、とても期限までの一括払いは無理!」というケースでは、なるべく早く専門家に相談した方が最悪の事態を逃れることができるでしょう。

債権回収会社に債権が移ったら連帯保証人の支払い義務はどうなるの?

連帯保証人は主債務者が返済不能になった場合に、代わりに全額返済する義務を負っている人です。

債権が金融機関から債権回収会社に移ったとしても、連帯保証人の義務がなくなることはなく、金融機関と結んでいた保証契約はそのまま債権回収会社に移行することとなります。

当然ながら、保証義務がなくなることはないので、誰かの連帯保証人になるときは(できればならないほうが良いですが)慎重に判断しなければいけませんね。

債権回収会社に債権が移ったら信用情報はどうなってるの?

信用情報機関に記録されている個人の信用情報に傷が付くことをブラックリストとかブラック入りするなどと言います。

債権回収会社に債権が移るということは、すでに長期間滞納していることになりますので、債権が移る前の段階でブラックリスト入りしていることになります。

新規借り入れはできませんし、クレジットカードを新しく作ることもできません。

債権回収会社を名乗る詐欺に注意を!

債権回収会社から連絡がきたら無視をしてはいけないのですが、注意しなければいけないこともあります。

債権回収会社の名前を使った架空請求詐欺についても知っておきましょう。

日本において債権回収会社を営むには、法務大臣による許可が必要です。

この許可を受けていない債権回収会社は詐欺や闇金、悪質な業者である可能性が高いので、絶対に支払いをしてはいけません。

債権回収会社を語る架空請求詐欺の例

ニセの債権回収会社による詐欺では、次のような手口が行われています。

実在する債権回収会社になりすます

実在する債権回収会社とそっくりの商号を使って、「債権の譲渡を受けた」「債権回収に関する確認事項があります。本日中にご連絡ください」などと書かれたショートメッセージが携帯電話に届きます。

債権回収会社のふりをして脅してくる

最初の連絡で支払いを行わなかった場合に、以下のような脅しが行われます。

・支払いを行わないと裁判になります。
・給与、不動産等の差し押さえを強制執行します。
・勤務先に回収に行きます。旅費・出張費も合わせて請求します。
・信用情報機関にブラックリスト登録をします。

正規の債権回収会社が、メールやショットメッセージでこのような脅し文句で支払いを強要することはまずありません。

債権回収会社詐欺が疑われるときはどうすればいいの?

債権回収会社の名をかたる詐欺が疑われるときに絶対にやってはいけないことが2つあります。

1.記載されている連絡先に電話をしてはいけません

こんな文言が書かれたメールや書面が届いたら不安になってとりあえず確認の電話をしたくなるかもしれませんが、悪質な業者には連絡をしてはいけません。

個人情報を与えてしまうと、さらに別の手口で詐欺が行われることもあります。

2.支払いをしてはいけません

詐欺業者は出会い系サイトやアダルトサイトなどの利用料金を請求してくることが多くあり、こういったサイトを利用したことを周囲に知られたくないとの心理からお金を払ってしまう人もいます。

詐欺集団に支払ってしまったお金を取り戻すことは非常に困難です。心当たりのない請求には支払いをしないようにしましょう。

1度支払いをしてしまうと、さらにお金を要求されることもあります。

警察や国民生活センターに相談を!

架空請求詐欺が疑われるときは自分だけの判断で連絡をしたり支払いを行うことは避けて、最寄りの警察に相談してください。

とりあえず電話で相談したい場合は「#9110」に。警察相談専用電話の「#9110」は、犯罪被害を未然に防止するための相談窓口で、「架空請求詐欺と決まったわけではないけど、疑わしいから相談したい」「自分では判断ができない」といった案件でも相談できます。

<参考>:警察庁 特殊詐欺対策

独立行政法人国民生活センターにも相談できます。国民生活センターは消費者のトラブルや生活の問題に取り組んでいる機関です。

局番なしの「188」、または「0570-064-370」に連絡をすると相談先を教えてもらうことができます。

<参考>:独立行政法人国民生活センター 全国の消費生活センター等

債権回収会社のなりすまし、架空請求詐欺に引っかからないためには?

法務省では、債権回収会社として許可している業者を公式に公開しています。

債権回収会社からの書面が届いたら、正規の業者であることを確認すると良いでしょう。

2020年10月現在、許可を受けている業者は76社あります。

主な業者はこちら。

日本債権回収株式会社
アビリオ債権回収株式会社
TSB債権管理回収株式会社
ニッテレ債権回収株式会社
株式会社整理回収機構
SMBC債権回収株式会社
オリックス債権回収株式会社
株式会社アトリウム債権回収サービス
シー・シー・シー債権回収株式会社
のぞみ債権回収株式会社
株式会社山田債権回収管理総合事務所
ジャックス債権回収サービス株式会社
あおぞら債権回収株式会社
キャピタル・サーヴィシング債権回収株式会社
株式会社沖縄債権回収サービス
エー・シー・エス債権管理回収株式会社
エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社
パシフィック債権回収株式会社
栄光債権回収株式会社
ミレニアム債権回収株式会社

こちらの「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧(法務省)」から76社全ての許可業者をチェックすることができます。

なお、法務大臣に認可された正規の債権回収会社が以下の請求を行うことはありませんので、該当する項目があったら慎重に対応するようにしてください。

・出会い系サイトやアダルトサイトの利用料金の請求は行いません。
・「有料番組未納料金」「電子消費者契約通信未納料金」などと称する請求は行いません。
・目隠しシールがないハガキで請求や督促は行いません。
・連絡先として多数の電話番号を掲載することはありません。
・請求書面で担当者の連絡先として携帯電話を記載することはありません。
・個人名義の口座を回収金の振込先に指定することはありません。
・法務省が債権回収を業者に委託することはないので、「法務省認可特殊法人」「法務省認定特別法人」「法務省認定債権回収業者加盟店」などの名称や機関はありません。
・債権回収に関する「(電子消費者契約民法特例法上の)法務省認定通達書」「法務省認可通告書」などの制度はありません。

まとめ:債権回収会社から連絡がきたらすみやかな行動を!

債権回収会社から急に連絡が来たらビックリしてしまうでしょう。

ですが、その前に利用している金融機関から何度も催促を受けているはずですので、もうこれ以上は待ってもらえず強制執行の一歩手前まで来ていると考えなければいけません。

債権回収会社から書面が届いたら、

・記載してある期日までに全額返済する
・債権回収会社に返済の交渉をする
・弁護士・司法書士に相談して交渉してもらう
・債務整理を行う

などの対応をとらないと、あっという間に差し押さえとなってしまいます。

債権回収会社はいわば取り立てのプロ集団なので、放っておくと本当に差し押さえとなります。

こんなことにならないように、債権回収会社から連絡が来たら迅速に必要な対応を取っていきましょう。


   

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