抵当権とは?登録費用や抹消方法なども解説

住宅ローンを組むときや、不動産を担保にしてお金を借りる場合などに「抵当権」という言葉を耳にすることもあると思います。

なんとなく聞いたことはあるけど、耳慣れない言葉でもある抵当権ですが、一体どんな時につけなければいけないのでしょうか?抵当権をつけることにリスクはないのでしょうか?

住宅ローンでは必ず設定することになる抵当権について詳しくご紹介します。


もくじ

抵当権とは?

住宅ローンなどでお金を借りる際は慎重な審査が行われることになるのですが、それでも返済に不安が残る場合もあります。

例えば、住宅ローンは何十年もかけて返済していくのが一般的なので、この期間に何があるかわからないものです。

抵当権とは、万が一、住宅ローンなどを返済できなくなった場合に備えて銀行などの金融機関が設定する権利のことです。

抵当権は金融機関が借金を回収する権利

抵当権は、住宅ローンなどでお金を借りるときに、万が一債務者が返済できない場合に土地や建物を担保とする権利のことを言います。

抵当権をつけていると、返済ができなくなった時に家や土地などを差し押さえることができるのです。

返済が遅れたらどうなるの?

抵当権が設定されている住宅ローンの返済ができなくなってしまった場合、債権者は裁判所に申し立てを行なって、担保となっている土地や建物を強制的に競売にかけます。

そして、売却した代金から優先的に代金を回収できることになります。

抵当権が使われる時の流れ

抵当権が行使された場合の流れを見ていきましょう。ここでは住宅を購入して銀行から住宅ローンでお金を借りた場合の例をご紹介します。

住宅ローンの返済が3ヶ月~6ヶ月ほど遅れてしまうと、銀行は裁判所に申し立てを行なって家を競売にかけることになります。

売却先が決定したら、その指定日までに家を明け渡すことになり、売却した金額はローンの返済に充てられることになります。

しかし、競売価格は相場よりも低いため、売却額は相場の7割~8割程度になることが多いです。

売却額で住宅ローンの返済ができなければ、引き続き返済義務が残ることになってしまいます。

逆に、売却額がローン残債よりも多かった場合は差額は債務者のものになるのですが、こういったことはまずありません。

抵当権はどうやって設定するの?

抵当権は、不動産登記簿に抵当権を登記することで設定され、手続きは法務局で行うことになるのですが、近年は不動産会社が紹介する司法書士が代行するのが一般的です。

住宅ローンや、建物の売買契約を行う日に登記に必要な書類などを一緒に確認した後に、司法書士が法務局に行って手続きを行います。

抵当権の設定のために債務者本人が行う手続きはほぼありませんし、司法書士に心当たりがなくても問題ありませんが、書類や実印など用意するものはありますので、次に必要書類をご紹介します。

抵当権の設定に必要な書類など

・本人確認書類
・実印
・印鑑証明書
・権利証
など

この他に司法書士への委任状なども必要なのですが、自分で用意する書類は印鑑証明書のみで良い場合もあります。

抵当権には順位がある

一般的にはあまり耳にすることはないかもしれませんが、「抵当権の順位」とか「第一抵当権」などという言葉があります。

抵当権は、ひとつの不動産に複数設定することもできるので、順位がついていることがあるんです。

例えば、6,000万円の担保価値がある不動産があり、A銀行の第一抵当権が4,000万円、二番抵当権者となるB信用金庫が2,000万円の債権を持っていたとします。

この不動産が競売にかけらて5,000万円で売却できた場合、第一抵当権を持つA銀行は優先的に4,000万円を回収できることになります。

二番抵当権のB信用金庫は1,000万円は回収できますが、差額の1,000万円については引き続き債務者から回収していくことになります。

抵当権が後から増えることもある

住宅ローンで抵当権がついている不動産に、後から抵当権が増えることもあります。

例えば銀行の住宅ローンの返済中に、家のリフォームのために別にローンを組んだ場合などです。

このケースでは最初に抵当権を得ている住宅ローンが第一抵当権になり、リフォームローンは第二抵当になります。

住宅ローンの返済を先に完済すると、リフォームローンが繰り上がって第一抵当権者になります。

抵当権を設定するための費用

抵当権を設定するには、住宅ローンとは別途費用がかかることになります。

登録免許税

抵当権設定登記費用でもっとも金額が高いのは「登録免許税」になります。

登録免許税は「借入額の0.4%」となっています。

住宅ローンで4,000万円の融資を受ける場合は、「4,000万円×0.4%=160,000円」となるので16万円が必要です。

ただし一定の条件を満たせば0.4%が0.1%に軽減されることになります。

「4,000万円×0.1%=40,000円」なので、12万円も減らすことができるわけです。

この住宅用家屋の軽減措置が適用できる期間は、2021年3月31日まで(※1)の期間限定となっています。

※1)令和2年度の税制改正によって2年間延長されました。

司法書士へ支払う報酬

手続きを代行してくれる司法書士へも報酬を支払うことになりますが、価格は依頼する司法書士によっても変わりますし、ローンの金額でも変わってきますが、相場は2万円~10万円と幅が広くなっています。

司法書士へ支払う費用は、この他にも交通費や出張費などの実費もあります。

印紙代

印紙代は貼り付ける契約書などで価格が変わるのですが、住宅ローンの場合は借入額が100万円~500万円以下なら2,000円、500万円~1,000万円以下なら1万円、1,000万円~5,000万円だと2万円です。

雑費

抵当権設定の書類作成にかかる実費も債務者が支払うことになります。抵当権所有者の印鑑証明の発行費用として支払う費用(300円)などがこれに該当します。

抵当権がついている不動産の相続はどうなるの?

抵当権がついている家でも相続することは可能で、相続税評価にも影響はありません。

住宅ローンは完済済みだけど抵当権の抹消を行なっていないという状態であれば、手続きをすることで抹消できますし、相続税も通常と同じになります。

住宅ローンを払い終わっていない場合は、まず相続の問題として、住宅は相続して住宅ローンは引き継がないということはできないので、抵当権付きの家を相続する場合は住宅ローンの相続も同時に行うことになります。

ただ、通常は抵当権がついている住宅を相続するケースというのは、被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)から相続されるということが多いと思います。

この場合は、被相続人が団体信用生命保険に加入していて、ローン債務者が亡くなった場合は残債を保険会社が全額返済するのが通常です。

そのため住宅ローンを組んでいる人が亡くなったことで相続をする場合は、ローンの支払いは残らないのが一般的です。

第三者に返済義務がある抵当権がついている家の相続はどうなる?

例えば家の持ち主は父親でも、その子供が借主になっている教育ローンの担保として家に抵当権がついていることもあります。

債務者は子供なので返済義務は子供にありますがで、担保はその親の名義になっている家ということになります。

夫が事業を行なっている事業者ローンの抵当になっている家が、その妻の名義という場合もあります。

こういう「第三者に返済義務がある抵当権付きの住宅」を相続する機会もあるかもしれません。

このような抵当がついている家を相続しても、借金を相続することはありません。

借金の支払い義務は第三者にあるので、相続をする人には無関係なんですが、ひとつだけ注意したいところがあります。

それは借金を支払う必要はないとはいえ、返済が終了するまで抵当を外すことはできないというところです。

抵当権を抹消するためには、返済義務がある人が完済する以外の方法はありません。

抵当権がついている家は売却できるの?

抵当権がついている家を売却することも可能ですが、ただ、抵当権がついているということは住宅ローンが残っているということになるので、この家を購入しても元の売主が住宅ローン返済を滞納したら抵当権によって家が売却されてしまうことになります。

このような家を購入する人はいないのではないでしょうか。

つまり、抵当権がついている家を売却することは理論上は可能ですが、引き渡しを行う日までにローンを完済して抵当権の抹消をしないと購入する人はいない、つまり売りたくても売れないということになります。

抵当権の抹消手続きは自分で行うことになる

住宅ローンを完済したら抵当権は速やかに外した方が良いのですが、この手続きは銀行や不動産会社が行なってくれるものではありません。

住宅ローンの融資元である銀行は、お金を貸すために必要な手続きとして抵当権をつける手続きを行なうだけなので、抹消手続きは自分ですることになるんです。

通常は、住宅ローンを完済すると銀行から完済証明書などの抵当権抹消に必要な書類が送られてきます。

これらを持って法務局に行って手続きをするだけで完了します。

抵当権抹消のために必要な費用は、登録免許税として1件の不動産につき1,000円で、建物と土地の両方の登録抹消をするなら2,000円になります。

司法書士に抹消手続きを依頼することもできますが、1万円程度かかります。

手間はかかりませんが、費用がかさむことになりますね。

なお、不動産を売却すると同時に住宅ローンを完済する場合は、業者が手続きを行なってくれるので自分で抹消手続きをしなくても大丈夫です。

抵当権の抹消はなるべく早く行おう

抵当権は住宅ローンを完済したら抹消することができるのですが、この抹消手続きはなるべく早く行なった方が良いと言われています。

せっかく住宅ローンを払い終わっても、抹消手続きを行なっていない状態では登記簿に抵当権の記載が残ったままになっています。

つまり、書類上はまだローンが残っていることになっているんです。

住宅ローンが残っていて抵当権がついている家を買いたがる人はいませんので、売りたくても家の買い手が見つからないことになります。
また、住宅ローンが残っているとみなされるため、他のローン審査を受ける際にも不利になってしまいます。

さらに抵当権の記載があるまま所有者が亡くなってしまった場合、相続の際に「住宅ローンは完済したって聞いたのに、まだ借金がある!!」と思われてしまい、トラブルになってしまうこともあります。

住宅ローンを払い終わった物件に対して、抵当権を残しておくことにメリットはないので、早めに抹消手続きを行うようにしましょう。

【まとめ】住宅ローンを組むなら抵当権を知っておこう

家を購入するときには、高い確率で抵当権をつけることになります。

ローンを組まずに一括払いで購入する場合などは抵当権の必要はありませんが、このご時世でローンなしで家を買うということはあまり考えにくいでしょう。

抵当権はちょっと怖い印象があるかもしれませんが、自分で住宅を購入する場合であれば、長期滞納をしなければ大丈夫です。

購入前には銀行からも説明があるかと思いますが、住宅ローンの返済期間は非常に長いので、そのうち忘れてしまうこともあるかもしれませんね。

住宅ローン完済後は速やかに抵当権の抹消手続きを行うことは覚えておきたいですが、完済後に書類が送られてくることも多いので、受け取ったら手続きに行けば問題ありません。

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