自己破産とは?手続きの流れやメリット・デメリット

自己破産をすると借金がゼロになると聞いたことがある人は多いと思います。

では、どれくらいの借金があれば自己破産ができるのでしょうか?パチンコなどのギャンブルで作ってしまった借金もチャラにできるのでしょうか?

自己破産のメリット・デメリット、手続きの流れや費用、終了までの必要な期間などを詳しく解説します。


もくじ

自己破産とは?

まず自己破産とは、「裁判所で全ての債務を免除(免責)としてもらう手続き」になります。

本人の資産、財産、収入などを総合的に見て、抱えている借金の返済が不可能である状態のことを「支払い不能」と言います。

自己破産は、裁判所に「破産申立書」を提出して支払い不能であることを認めてもらって「免責許可」をもらう手続きになります。

お金を返せなくなることは誰にでもありうること

お金を借りる機会は誰にでもやってきます。

消費者金融や銀行カードローンは使わない人でも、クレジットカードの仕組みは後払いですし、分割払い・リボ払い、スマホの分割払いもひとつの借金と言えます。

将来的には家を持つための住宅ローンを組むことだってあるかもしれません。

借金自体は決して悪いことではなく生活に必要なもので、返済さえきちんとできれば特に問題となることもないのですが、本来は返済できるはずのお金も何が原因で返せなくなるのかわかりません。

親の介護で会社を辞めざるを得なくなった人もいますし、良いことではありませんがパチンコ、競馬などギャンブルにのめり込んでしまう人もいます。

また、新型コロナウイルスの感染拡大で、東京都のタクシー会社運転手ら600名が一斉解雇されたというニュースを覚えている方も多いと思います。

新型コロナウイルス問題による解雇・雇い止めは、規模の大小に関わらず日本中で起こっています。

借金の原因、借り入れ額、件数、収入、資産などは人それぞれなので、借入額が多くても収入が多ければ免責が認められないこともありますし、借入額が少なくても収入も少なければ自己破産ができる可能性はあります。

言い換えると、とても返せないくらいの借金があることを裁判所に認めてもらって、返済を全額免除してもらう手続きが自己破産ということになります。

自己破産のメリット

自己破産は4種類の債務整理の中でいちばんデメリットが多いのですが、債務はゼロになるのでメリットも大きい手続きになるんです。

自己破産のメリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。

自己破産すると借金が文字通り0円になる

自己破産が認められると、抱えている借金は文字通り0円になります。

一定以上の財産、持ち家、車など、返済の配当に回せるものは失うことになりますが、会社からもらっているお給料などの収入に影響することなく借金がリセットされることになるので、自己破産成立後は生活を立て直しやすくなるでしょう。(自己破産の申請期間に一部職業に制限がかかることになります)

自己破産すると債権者からの催促がなくなります

自己破産を専門家(弁護士等)に依頼すると、早い段階で債権者に受任通知が届きます。この受任通知を受けた債権者は、債務者に直接催促をすることができなくなります。

また、自己破産が認められたら債務がなくなることから、債権者からの電話、郵送物、訪問などの督促も全てなくなるので、精神的な負担もなくなります。

自己破産しても手元に残せる財産もあります

自己破産をすると何もかも失うというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはなく、価値が20万円以下の資産は残すことができますし、スマホ・パソコンなどもよほど高級なものでなれば生活に必要なものとして残すことができます。

また、自己破産しても住んでいる家が賃貸物件ならそのまま住み続けることももちろん可能です。

自己破産のデメリット

自己破産は借金をなかったことにする非常に重大な手続きになるため、デメリットも重いものになることを知っておきましょう。

ブラックリストに載ります

個人信用情報に自己破産を行なったことが記録されます。

信用情報機関はCIC、JICC、KSCの3社あるのですが、このうちCIC、JICCは5年、KSCには10年の間、自己破産の履歴が記録されることになり、この記録がある状態をブラックリストと呼んでいます。

ブラックリスト入りしている間は、お金を借りることができませんし、お手持ちのクレジットカードも使えなくなり、新規で作ることもできません。

ただ、自己破産してもブラックリストが解消されれば新規借り入れもできるようになりますので、あくまでも一定期間だけペナルティがあるということになります。

自己破産すると官報に載ります

官報は国が発行する機関紙で、法律、条約、政令などを公布していて、紙媒体とインターネットで読むことができますが、自己破産をすると必ずこの官報に住所と名前が載ってしまうんです。

<参考>:インターネット版 官報

官報には破産手続きの開始決定が出た後と免責が決定されたときの2回掲載されることになり、この記録は消すことができません。

ただ、官報に氏名と住所が載ってしまったとしても、親戚や会社の人に毎日隅々まで官報をチェックしている人がいなければ、自己破産した事実はまずバレることはないでしょう。

気持ちの良いものではありませんが、官報から近所の人、親戚、会社などに自己破産が知られてしまう可能性は非常に低いです。

ただ、官報に載ってしまうデメリットは、ヤミ金に自己破産の事実を知られてしまうことです。

ヤミ金はお金のトラブルを抱えている人などを常に狙っているので、自宅宛にダイレクトメールなどが届く可能性は否定できないでしょう。

ありえないような良い条件でお金を貸すことが書かれているハガキなどは全て悪質業社だと思って、関わり合いを持たないようにしてください。

自己破産手続きを開始してから免責が決定されるまで一部つけない職業がある

自己破産の手続きを開始してから免責決定までの間は、以下の職業につくことができません。

●士業
弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士などの「士業」

●金融関連業
貸金業者、質屋・古物商、生命保険募集人など

●公務員
交渉人、公正取引委員会、教育委員会など一部公務員

●団体企業の役員
日本銀行、信用金庫、商工会議所などの役員

●その他職業
旅行業務取扱管理者、警備員、建設業、風俗業管理者、廃棄物処理業など

職業制限は一時的なもので、自己破産が成立したら制限も解除されますが、このことを「復権」と呼びます。

破産手続き開始から自己破産が成立して復権となるまでは「3ヶ月~半年程度」かかると思っておきましょう。

もし免責とならなかった場合はどうなるかというと、復権までに最長10年の制限がかかることがあります。

こういったことにならないように自己破産は専門家(弁護士など)と一緒に慎重に進める必要があります。

自己破産の種類

自己破産には「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類があります。自己破産の手続きの進め方による違いなのですが、費用にも大きく差が出てくることになります。

同時廃止事件とは?

債務者に配当すべき資産がない場合、価値のある一定以上の財産がない場合などは同時廃止事件となります。

同時廃止事件では、自己破産の手続きの開始決定と同時に破産手続きが終了する廃止決定がなされます。

同時廃止事件にかかる費用は、弁護士・司法書士に支払う報酬と、裁判所への予納金が数万円です(実際に費用については後ほどまとめます)。

管財事件とは?

債権者への配当に回せる財産がある場合は管財事件になります。

管財事件になると、裁判所によって「破産管財人」が選任されて財産の調査や配当などが行われることになります。

管財事件は、同時廃止事件よりも時間がかかり、費用も弁護士費用と裁判所への予納金の他に破産管財人への報酬が発生するので、同時廃止事件より高くなってしまいます。

管財事件になるケースとは?

基本的には以下に該当すると管財事件になります。

・破産者が20万円を超える資産を所有している
・破産申立の直前まで法人代表や事業者であった
・破産管財人による調査の必要性があると判断された

ごく一般的には20万円を超える資産がある場合に管財事件となるケースが多いでしょう。

持ち家の所有者も資産の対象になりますし、生命保険や子供の学資保険、これからもらえるであろう退職金なども資産として申告することになります。

また、資産は全くない状態だけど借金の原因が著しいギャンブル、浪費であった場合など免責不許可事由の存在があった場合などは、すぐに同時廃止事件とはならず裁量免責調査のために破産管財人が認定される管財事件となるケースもあります。

自己破産すると失う「20万円を超える資産」とは?

自己破産をすると20万円を超える資産は配当へ回されることになり残すことはできなくなり、自己破産の種類も管財事件となります。

では、どのような資産が「20万円を超える資産」に該当するのでしょうか?

自己破産すると住宅(持ち家)・土地は手放すことに

基本的に持ち家や所有している土地がある場合は管財事件になり、不動産は手放すことになります。

ただし、住宅ローンが大幅に残っていて、住宅ローンの残金が持ち家の価値を超えてしまうようなケースでは同時廃止事件になることもあります。

ある一定額以上の現金は残すことができない

現金は自己破産後の生活に必要不可欠なので、99万円まで自由財産として残すことができますし、管財事件にはならず同時廃止事件となります。

ただし東京地方裁判所本庁では、33万円以上の現金がある場合は、処分はされないものの管財事件になります。

20万円以上の価値がある自動車、バイクは手放すことに

20万円以上の価値があるとされる自動車、バイクがある場合も管財事件になります。

逆に、20万円を超える価値がないと判断された場合は、資産として評価されず、自己破産しても手元に残すことが可能となっています。

自己破産すると「宝石、貴金属」なども手放すことに

自己破産すつと、金、宝石、高級な腕時計なども財産となり、手放すことになってしまいます。

不相応な家電製品・家財道具

生活に必要な家電製品は残すことができますが、平均的な生活水準を超えるような家電製品は、自己破産すると差し押さえとなります。

生命保険の解約返戻金や退職金は?

生命保険の解約返戻金が20万円を超える場合も管財事件になります。

また、退職金の支払い見込み額の8分の1が20万円を超える場合と、すでに退職予定がある方は支給見込み額の4分の1が20万円を超える場合は管財事件となります。

自己破産と「借金の質」は関係ある?

自己破産は全ての債務を返済できないことを認めてもらう手続きになるのですが、同じ「債務」と言っても、例えば住宅ローンや自動車ローンと、パチンコなどのギャンブルに使った借金では、その性質が全く異なります。

「ギャンブルで作った借金は自己破産できない」と聞いたことはありませんか?

絶対に免責にならないということはないのですが、ギャンブルによって著しく借金をしてしまった場合など「免責不許可事由」に該当する場合は実際に自己破産ができないこともあります。

どのような債務や行為が免責不許可事項になるのか確認しておきましょう。

「免責不許可事由」の種類

免責不許可事由に該当する項目は「破産法 第252条1項」に記載されていますが、条文は非常にややこしく書かれているので、ここではできるだけわかりやすくご紹介していきます。

<参考>:破産法252条 e-Gov

財産を意図的に隠す行為

宝石や高価な腕時計を隠して申告しなかったり、本来は自分の名義である不動産を家族名義に書き換えるなども免責不許可事由となってしまいます。

債権者へ回ると思われる財産を不当に安く売却してしまう行為もこちらに該当します。

自己破産目的の換金行為

条文には「破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。」とあります。

これは自己破産の申し立てを行うことを目的として、高利の借り入れをしたり、クレジットカードショッピング枠の現金化を行うなどの換金行為を指します。

自己破産をすることを前提にしてお金を借りて踏み倒すようなことはダメですよ、ということですね。

非義務的偏頗(へんぱ)行為

支払い義務もない、払う理由もないのに意図した債権者だけに返済をしたり、担保を設定するなど、特定の債権者の利益になるように他の債権者に損害を与えるような行為も免責不許可事由となります。

具体的には貸金業者などへの返済は滞っておきながら、親類や勤務先への返済だけはきちんと行うような行為も非義務的偏頗行為になります。

ギャンブル・浪費

ごく一般的に考えて浪費と思われるお買い物、パチンコなどのギャンブル性の高い行為から著しく増えてしまった借金も免責不許事由になります。

ギャンブルは、パチンコ・スロット、競馬、競輪はもちろんですが、注意したいのは株やFXもここに該当してしまうこと。

絶対に免責されないということはありませんが、最も多い免責不許可事由だと思っておきましょう。

詐欺同然の借り入れ

自己破産の申し立てから1年間さかのぼった日の間に、自分がすでに借金の返済が支払不能であることを知っていながら、相手に嘘をついて(騙して)ローンを組んだり、お金を借りたりした場合も免責不許可事由になります。

7年以内に免責を受けている場合

過去7年以内に以下に該当する免責を受けている場合は、自己破産ができません。

・自己破産で免責を受けたことがある
・給与所得者再生を受けたことがある
・ハードシップ免責を受けたことがある場合

こちらは「7年以内の免責取得」と呼ばれている免責不許可事由になります。

その他の免責不許可事由

以下に該当するような行為も免責不許可事由になってしまうので気をつけましょう。

・業務および財政状況に関する帳簿・書類その他物件を隠す行為
・虚偽の債権者名簿を提出する行為
・裁判所から求められる説明を拒否する、嘘をつく行為
・破産管財人の調査や職務を妨害する行為
・破産に関する事情説明義務、財産を明らかにする義務など、免責の判断のための説明義務に違反する行為

「非免責債権」は自己破産しても支払い義務がなくならない

通常は免責不許可事由がなければ原則として抱えている全ての借金の返済義務がなくなるのですが、そもそも「免責されない債権」も存在します。

公的な請求と延滞金などの罰金

住民税、国民健康保険料、固定資産税、年金などの公的な支払いと、すでに発生している延滞金などは自己破産をしても債務がなくなることはありません。

ただし、税金関係や国民健康保険証は分納が可能ですし、本当に支払い不能であれば軽減・減免申請も可能なので、延滞する前に手続きを行うようにしましょう。

払えないからといって、電話連絡を無視したり督促状を放っておくのがいちばん良くない行為です。

悪意があって加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

不倫の慰謝料など単なる不法行為による損害賠償請求権は免責となりますが、悪意があって加えられたと認められる不法行為による慰謝料などの損害賠償は免責にはなりません。

故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

例えば、重過失が認められた交通事故の損害賠償などは自己破産しても免責とはならないでしょう。

養育費

破産者が扶養義務者で、その負担するべき費用(つまり養育費)なども免責にはなりません。

親が離婚しても親子の関係は無くなりませんし扶養の義務がなくなるわけではないので、養育費は非免責債権となっているのです。

自己破産の費用の相場はいくらくらい?

自己破産に必要な費用は、同時廃止事件と管財事件によって大きく異なりますし、依頼する専門家によっても設定が変わります。

費用が高くなるのは破産管財人が選任される管財事件です。

破産管財人は債務者が所有している財産の換価や、債権者へ平等に配当を行うための調査を行う専門的なお仕事になり、裁判所から選定されます。

当然、無償でやってくれるものではありませんので、管財事件になると「引継予納金」「引継金」などの名目で20万円~30万円程度かかることになります。

ここでは、インターネットで公開されている弁護士事務所・司法書士事務所の公式サイトの実際の金額をご紹介します。

大手A弁護士事務所

▼同時廃止

着手金 27万円(税抜)
その他の費用 申立費用(予納金)として3万円

 
 

▼管財事件

着手金 38万円(税抜)
その他の費用 ・申立費用(予納金)として3万円
・管財人引継手数料が約20万円

 
 

B司法書士事務所

▼同時廃止事件

着手金 なし
報酬 248,000円(税別)
※債権者10社以上の場合は、3万円追加
通信費 5,000円
裁判所への支払う費用(東京地裁の場合) 合計16,184円

 
 

C司法書士事務所

▼同時廃止事件

債権者数 費用(税込)
1~5社 175,000円
6~10社 200,000円
11~15社 225,000円
16社以上 250,000円

 
 

▼管財事件
債権者数に関わらず一律300,000円(税込)で、裁判所への予納金として22万円ほどの実費も必要です。

法テラスに自己破産手続きを依頼した場合の費用

実費 着手金
1~10社 23,000円 129,600円
11~20社 23,000円 151,200円
21社以上 23,000円 183,600円

 

なお、法テラスは「民事法律扶助」を行なっています。

これは経済的余裕がない方を対象としたもので、無料の法律相談と、弁護士・司法書士費用の一時立て替えを行なってくれます。

また、生活保護を受給している方については、費用の返済が必要なくなることもあります。

自己破産 手続きの流れ

自己破産の手続きは自分でできないものではなく、数十万円の弁護士費用・司法書士費用がかからないというメリットもあります。

ただし、できないことはないという程度で、現実には自己破産を自分で行うのは非常に難しいものになります。

自己破産手続きの際、裁判所に提出する資料は膨大になりますし、裁判所や管財人とのやりとりも全て自分で行うことになりますので、想像するだけでうんざりするのではないでしょうか。

さらに、債権者への受任通知が送られないため自己破産の手続き中も催促が続き、返済義務は継続します。

自分だけで自己破産を行うのはメリットよりもデメリットの方が大きいと言えます。

ここでは、専門家(弁護士・司法書士)に依頼する場合の自己破産の流れをご紹介します。
※依頼先によって流れは異なります。

同時廃止事件の手続きの流れ

1.弁護士・司法書士に自己破産の相談をします
どこに自己破産の相談すれば良いかわからない場合は、法テラスに相談してみることをおすすめします。債務整理の相談は無料で、今後どのような方法で進めていけば良いのかを案内してもらえますし、費用の立て替えも相談できます。

<参考>:費用を立て替えてもらいたい -法テラス-

2.受任通知と取引履歴の開示請求が債権者に送られる
自己破産手続きを依頼すると債権者に対して、弁護士・司法書士から受任通知が送られ、これにより催促の電話や督促状がストップします。支払い義務も止まるので、この時点から返済も不要となります。

3.破産申立に必要な書類を作成します
自己破産の申立に必要な書類を教えてもらえるので、用意して弁護士・司法書士事務所に提出します。

4.裁判所へ自己破産申立をする
用意した書類をもとに弁護士・司法書士が自己破産申立書を作成して、裁判所に提出します。

5.破産開始決定と免責の決定(同時廃止)
裁判所により免責が決定されると、抱えている全ての借金の返済義務がなくなります。

管財事件の手続きの流れ

管財事件の場合も専門家(弁護士・司法書士)に依頼してから破産開始決定をもらうまでは同じなのですが、このあと、管財人の事務所に行って「管財人面談」が行われます。

面談では借金の内容、借金した理由、収入・財産の調査などのヒアリングがあります。

特に問題がなければ30分程度で終わりますし、免責不許可事由がなければ面談は1回で終わります。

ただし、ここで虚偽の申告をしてしまうと「免責不許可事由」に該当してしまい、免責許可がおりないことがあります。

また、毎月1回の面談を実施しながら3~4ヶ月程度、経過観察をされることもあります。

最終的には裁判所から免責許可決定の通知を受け取ったら自己破産が完了します。

自己破産の完了までにかかる時間はどれくらい?

自己破産をすると、どれくらいの期間で免責となるのでしょうか。

管財事件になった場合の期間は「約1年」

まず自己破産は専門家に依頼するところからスタートするのですが、依頼された弁護士・司法書士も、すぐに裁判所に申立ができるわけではありません。

まずは債権者に対して債務を調査をするための依頼書(開示請求)が送られるのですが、これに対して資料が送られてくるまでに1ヶ月~3ヶ月かかります。

また、債務者本人も書類作成をする必要があり、仕事をして日常生活を送りながらの作成になるので、1ヶ月程度かかることもあるでしょう。

そこから弁護士や司法書士が申立に必要な資料を作成するので、依頼してから申立が行われるまでに半年程度かかることもあります。

裁判所への申立から破産開始手続き開始決定までに約1ヶ月かかり、そこから、管財人の選定、調査、面談などが約3ヶ月の間に行われます。

債権者に配当できる財産がある場合は、配当手続きも行われ、これには1~2ヶ月くらいかかります。

ここから1週間ほどで裁判所からの免責許可がおります。

管財事件の場合は専門家に依頼してから免責となるまでは「約1年」と思っておきましょう。

同時廃止事件になった場合の期間は「約4ヶ月」

同時廃止事件の場合は、破産手続きの開始と同時に手続きが終了となりますので、管財事件と比較すると必要な期間も短く、4ヶ月程度で終了することもあります。

いずれも、債務の内容や手続きの複雑さなどで、必要な期間は大きく変わりますので、自己破産する方は早めに専門家(弁護士・司法書士)に相談するようにしましょう。

自己破産の必要書類は?

自己破産に必要な書類は、
・専門家への依頼に必要な書類
・自己破産申立に必要な書類

の2種類があります。

専門家に自己破産を依頼するための必要書類

・住民票、戸籍謄本
・収入証明書:2~3ヶ月分の給料明細、源泉徴収票など
・居住地がわかるもの:賃貸契約書など
・債権者一覧:業者名、電話番号、住所などの一覧(作成が必要です)
・債権者との契約書:契約書、申込書など
・財産がわかるもの:保険証書、不動産登記簿謄本、車検証など

これらをすぐに全て揃えるのは難しいかもしれません。
依頼時に必要な書類は「あった方が話を進めやすい」という感じになるので、書類をすぐに用意できなくても相談は可能です。

自己破産申立に必要な書類

・申立書
・陳述書
・住民業
・債権者一覧
・給与明細(2~3ヵ月分)
・源泉徴収票
・財産目録
・家計の状態がわかるもの
・預金通帳(1~2年分)
・車検証・自動車税の申告書等車の名義の証明書類
・土地家屋の権利書
・保険証書など保険契約を証する書類
・退職金見込額証明書
・保険証券(生命保険に加入の場合)
・資産に関する資料:退職金見込み額証明書など
・居住地に関する資料:賃貸契約書、不動産登記簿謄本、居住証明書など
・不動産登記簿謄本(自宅がある場合)
・不動産鑑定書(自宅がある場合)
・自動車の査定書
・株・FXなどの取引明細
・その他、裁判所から提出を要求された書類
など

これらは一般的に自己破産をする際に必要な書類なので、不要なものもあればさらに追加で必要なものもあります。

自己破産に必要な書類は非常に多いのですが、専門家(弁護士・司法書士)に依頼すれば債務者からの催促は止まりますので、精神的に落ち着いた状態で時間をかけて揃えていくことができます。

免責までに1年かかることを考えると、「書類がないから自己破産ができない・・・」と悩むよりも先に、弁護士・司法書士に相談をすべきではないでしょうか。

自己破産をした後の生活はどうなるの?

自己破産について、こんな噂を聞いたことありませんか?

・自己破産をすると、まともな生活がおくれなくなる
・自己破産をすると家族にも影響がある
・自己破産をすると選挙権がなくなる
・自己破産をすると賃貸物件の契約を解除される、今後も契約できなくなる
・自己破産をすると会社をクビになる
など

自己破産は非常にネガティブな手続きだと思われているかもしれませんが、これらは間全て違ったイメージになります。

自己破産は私たちの生活を立て直して新たな一歩を踏み出すための制度であって、決して人生が閉ざされたり、人権を損なうような手続きではないのです。

自己破産すると家族への影響は?

自己破産が家族に直接影響したり、不利益をもたらすことはありません。

自己破産してブラックリストと官報に載るのも本人だけですし、家族の信用情報に「親に自己破産の経歴あり」などと記載されることは絶対にないです。

これにより、子供がクレジットカードを作る場合や、住宅ローンを組む場合などに子供本人の信用情報が参照されたとしても、親がブラックリストであることが原因で審査に落ちることはありません。

万が一審査落ちしてしまった場合は、他に原因があることになるでしょう。

子供の進学、就業、結婚にも親の自己破産が影響することはありません。

ただし、家族に内緒で自己破産をすることは難しいと思っておきましょう。

自己破産の手続きには弁護士・司法書士と何度もやり取りを行うことになりますし、場合によっては住む家が変わることもあります。

お金の問題で子供の進学に影響することは考えられますので、できれば自己破産について家族にはきちんと話しておくことをおすすめします。

自己破産すると連帯保証人への影響は?

自己破産が認められると申立者本人の借金は無くなりますが、連帯保証人がいる場合は、そっくりそのまま債務が連帯保証人に移ります。

自己破産しても、債務者の返済義務がなくなるだけで借金自体は残っているわけです。

債務者が夫で連帯保証人が妻の場合、自己破産すると夫の支払い義務はなくなりますが、妻が返済をしなければいけなくなるので、世帯としての返済負担は変わりません。

この場合、夫婦で自己破産をしなければいけなくなりますし、実際にそういうケースもあります。

また連帯保証人が家族以外の人である場合は、自己破産すると多大な迷惑をかけることになりますので、事前の相談も必要です。

自己破産では債権者を選んで破産することはできません。

どうしても連帯保証人がいる債権だけを外して債務整理をしたい場合は、自己破産ではなく「任意整理」を選択することになります。

ただ、任意整理は自己破産と違って元金まで免責になることはありませんので、全額返済免除とはなりません。
専門家(弁護士・司法書士)とよく相談して債務整理の方法を決めるようにしましょう。

自己破産Q&A

自己破産のメリット・デメリット、手続きの流れなどを見てきましたが、ここでは自己破産に対するよくある質問を見ていきましょう。

会社に知られずに自己破産できる?

裁判所などから会社に自己破産の事実を知らされることはありません。

基本的に、自分で言わない限り、自己破産をすることが家族・会社・学校などの周囲に知られることはないと思っていて大丈夫です。

ただし会社からお金を借りている場合は会社も債権者となるので、知られてしまうことになります。

また、自己破産申立に必要な書類として退職金額の証明書が必要な場合がありますので、「何に使うの?」と会社に聞かれてバレてしまうこともあるでしょう。

また、非常に稀ではありますが、会社の誰かが官報を読んだことで自己破産の事実がバレてしまうことも考えられなくもないです(ホントに稀なケースです)。

子供の学資保険は解約しないといけないの?

学資保険は子供の財産に思えますが、積み立てを行なっているのが債務者となる親である場合は、残念ですが解約することになります。

ただ、かならず解約になるということではなく、扱いとしては生命保険と同じで、「解約返戻金が20万円を超える場合」は解約することになります。

「自由財産の範囲の拡張(自由財産の拡張)」ってなに?

自己破産をすると一定以上の財産は処分されることになりますが、逆に処分しなくて良い財産のことを「自由財産」と呼んでいます。

原則としては価値が20万円以上の財産と99万円を超える現金などは処分の対象となるのですが、生活する上で本当に必要な財産は人によって異なります。

例えば、体に不自由なところがあるために高額な器具や自動車が必須である人から、20万円以上の価値があるからといって処分させると生活ができなくなってしまいます。

こういった場合に自由財産の範囲を広げてもらう制度が「自由財産は範囲の拡張(自由財産の拡張)」になります。

また、上の項目の解約返戻金が20万円を超える学資保険も、自由財産の範囲の拡張ができる可能性もあります。

債務の原因のほとんどがギャンブルです!自己破産は無理?

自己破産の場合は原則として多重債務となってしまった原因のほとんどがギャンブルである場合は免責とはなりません。

自己破産は、どんな借金もチャラにできるような甘い仕組みではないのです。

ただ、ギャンブルが全てダメということではないですし、反省の状況を裁判官に認めてもらえれば免責を受けることも可能です。

もし、免責許可が出ない場合でも自己破産以外の債務整理で対応することは可能です。

「少額管財」って何?

少額管財は東京地方裁判所などで運用されている管財事件で、本来裁判所に支払うはずの予納金を少額で済むようにしたものです。

東京地裁の場合、20万円程度の予納金と1万円ほどの官報広告費で自己破産手続きを進めることができます(弁護士費用は別です)。

自己破産を利用しやすくすることが目的で行われている制度で、少額管財になった場合は申立をしてから免責が認められるまでの期間は2~5ヶ月程度で済みます。

費用が安く手続きも早いのですが、少額管財の申立ができるのは弁護士に限られ、司法書士では手続きができませんのでご注意ください。

「即時面接制度」ってなに?

通常の自己破産手続きの場合、申立をしてから破産手続き開始決定までに1ヶ月程度かかります。この期間を短くするための仕組みが「即時面接制度」になります。

「即時面接制度」を利用すれば、最短で申立をした即日に破産手続きの開始決定となります。

同時廃止事件なら開始決定と同時に破産手続きが終了するので、最短即日に破産手続きが完了して、晴れて借金がゼロになるんです。

「即時面接制度」を利用するには弁護士が裁判所と面談する必要になるので、弁護士に依頼することになります。

ただし、「即時面接制度」を利用できる裁判所は限られていて、現在は東京地方裁判所の独自制度と言って良いくらいまだ広まっていないようです。

東京在住の方で「即時面接制度」を希望する場合は、弁護士に相談してみると良いでしょう。

【まとめ】自己破産は時間もかかるし複雑な手続きになる

自己破産は法律に基づいて借金をゼロにできる手続きで、イメージにあるようなネガティブな要素が多いものではありませんし、借金の返済義務がなくなるので今後の生活に大きな希望が持てるものです。

自己破産の手続きや必要書類は複雑で、一般的には依頼から終了までに1年程度時間がかかります(管財事件の場合)が、専門家に依頼すると債権者からの催促が止まりますので、精神的な安定はすぐに得られるでしょう。

自己破産をすべきなのかわからない場合は、個人の状況に合わせてどの債務整理がふさわしいのかも専門家に相談することもできます。

多くの弁護士・司法書士事務所は債務整理に関する相談は無料で受けていますし、法テラスもあります。

「もうこれ以上支払いが難しい」という状況なら、どこからからお金を借りる方法を探してもたどり着くのはおそらくヤミ金しかありません。

自己破産を含めた債務整理を検討する段階にきていると思って、まずは無料相談で新しい生活に向けた一歩を踏み出してください。

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